国土交通省中部地方整備局は2019年10月2日、8月に実施した清水港からシンガポール港への農産物28品目の海上輸送試験結果を公表した。
海上輸送試験は、農産物の輸出促進を図る上で、海上輸送における課題抽出と対応策を検討するため、庫内温度を一定に保つ高機能冷凍・冷蔵コンテナを用いて行い、温湿度と振動衝撃値、輸送前後の重量、糖度・酸度(果物のみ)等を計測、外観、食感・甘味(果物のみ)等を観察した。また、各品目でMAフィルム(鮮度保持フィルム)包装あり・なしの2種類を用意し、その影響についても比較分析した。
結果は、輸送時の温湿度や振動衝撃の影響による農産物の腐敗や損傷は見られず、MAフィルム包装によっては特に白菜、レタス、キャベツなど個包装でない葉物野菜の水分蒸散防止に効果的で、包装なしと比べて重量減少が抑制され、鮮度保持に大きく寄与したという。
果物及びトマトの味わいに重要な要素となる糖度については、輸送前後で上下した品目はあった。ただ、販売へ影響を与えるほどの変化はなかったという。
シンガポール港到着後24時間経過した状態では、24品目が集荷時と同等又はやや劣る品質で販売に適する状態だった。4品目は販売に適さない状態(なす、オクラ、キュウリは低温障害、ほうれん草は貯蔵による単純劣化が要因)だった。
海上輸送試験は、第2回を10月10日(木)~10月29日(火)、第3回を12月上旬、第4回を2月上旬に実施する予定。
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