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熊本大学、シンガポール国立心臓センターらと世界初AHDS共同研究契約締結

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熊本大学は2019年9月20日、熊大国際先端科学技術研究機構(IROAST)とNational Heart Centre Singapore(シンガポール国立心臓センター、NHCS)と高等専門学校Ngee Ann Polytechnic(ニーアン・ポリテクニック)の3者で、フレキシブルでウエアラブルな超音波センサとAIを駆使して、心筋梗塞など心臓・血管系の疾患を発見できる世界初のシステム「自動心疾患診断システム(Automatic Heart Diagnosis System、AHDS)」の共同研究契約を締結した。

(中央右から)小林准教授、田邉助教、山川准教授 写真提供・熊本大学

熊大が▽フレキシブル超音波センサの開発 ▽無線システムの開発、ニーアン・ポリテクニックが▽取得したデータを元に自動診断を行うAIの開発、シンガポール国立心臓センターが▽臨床研究の実施――を担い、AHDSの日本およびアジア新興国での5年以内の商用化を目指す。

熊大の田邉将之助教は、心筋梗塞について「胸痛などの前兆がある場合と前兆がないまま発症する場合がある。胸の痛みなど前兆を感じる場合であれば病院でCTやMRIなどの大型の装置を使って冠動脈(心臓近くの太い血管)の状態を観察することができるが、前兆のないまま発症することがあり、そのまま死に至る危険性がある」としたうえで、「持ち運び可能な既存の測定方法としてはホルター心電図があるが、ホルター心電図は刺激伝導系に異常が出る病態しか見えない。一方、超音波を用いると生体の内部構造を可視化することができるため、循環器の器質的疾患を捉えることができるが、既存の超音波装置は大きく、プローブ(探触子)を保持する必要があったため常時モニタリングは不可能だった」と現在の測定方法の課題を挙げ、共同開発する自動心疾患診断システムに関して「我々は無線で小型な超音波パッチを開発することで、常時モニタリングを可能にする。また、AIを組み合わせることによって、異常検知だけでなくその予兆を捉えることで発症を事前に検知することを可能にすることを目指している。簡単かつ安価な方法で検査できるため、早期発見と高い普及率に繋がり、新興国では平均寿命の延伸に寄与することが期待できる」とその可能性を説明した。

検査の様子 ※写真提供・熊本大学

熊大は2018年8月、ニーアン・ポリテクニックと提携する覚書(MOU)を締結。調印に際して、熊大の小林牧子准教授、山川俊貴准教授、田邉助教、シンガポール国立心臓センターのTan Ru San准教授、ニーアン・ポリテクニックのRajendra Acharya博士が面談し、共同研究テーマを決めた。

正式スタート前の予備実験で、熊大が作成した独自センサを熊大およびニーアン・ポリテクニックで実験を行うなど、実現可能性を検証したところ良好な実験結果が得られたため、今回、正式な共同研究契約を締結したという。

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