伊藤忠商事は、100%子会社で在シンガポール特定目的会社であるClean Ammonia Bunkering Shipping Pte. Ltd.(CABS社)を通じて、佐々木造船、泉鋼業との間で、5,000m3型アンモニアバンカリング船建造に関する建造契約及び同船に搭載するアンモニアタンクプラント製造に関する請負契約をそれぞれ締結した。同時にCABS社は広島銀行との間で同船建造資金に関する融資契約を締結した。2025年7月14日発表した。
発表によると、同契約は、経済産業省の令和5年度補正「グローバルサウス未来志向型共創等事業(大型実証ASEAN加盟国)(第2回公募)」に採択された「シンガポール国/舶用燃料アンモニア供給実証事業」に基づくもので、今後世界初となる新造アンモニアバンカリング船を建造し(シンガポール船籍、2027年9月完工予定)、シンガポールでのアンモニアバンカリング実証に向けてシンガポール海事港湾庁(MPA)など海事関係者や燃料生産者との具体的な協議を日本政府の支援を得ながら進めていく。
伊藤忠商事は、同船建造や実証を通じて、洋上での安全な舶用アンモニア燃料の供給オペレーションを確立する。その上で、アンモニア燃料船とクリーンアンモニア生産における先行者を同船で繋ぎ、舶用アンモニア燃料の初期需要を確保することで、シンガポールでのアンモニアバンカリングの事業化を実現し、将来的にはスペイン(ジブラルタル海峡)、エジプト(スエズ運河)、日本など世界の主要な海上交通要所への拡大を目指す。
今後のスケジュール
2025年6月 アンモニアバンカリング船建造契約締結
2027年9月頃 完工
2027年10月以降 シンガポールでのバンカリング実証
船主 | Clean Ammonia Bunkering Shipping Pte. Ltd.(CABS社、伊藤忠商事100%子会社、在シンガポールの特定目的会社) ・佐々木造船に5,000m3型アンモニアバンカリング船、泉鋼業にアンモニアタンクプラントを発注。シンガポール船籍の同船を保有し、シンガポールにてアンモニアバンカリング実証を行う。 |
造船所 | 佐々木造船(本社・広島県豊田郡大崎上島町) ・ケミカルタンカー、液化ガス運搬船など特殊船建造や自社独自の設計・開発能力に強みを持つ造船所。 |
タンク製造者 | 泉鋼業(本社・高松市) ・舶用LPGタンク製造では国内最大手。中小型の加圧式舶用LPGタンクプラントでは世界で40%以上のシェア持つ。日本政府補助金を活用し、需要の増す舶用アンモニア燃料タンクの増産を計画。 |
融資行 | 広島銀行(本社・広島市) ・地場の造船・海運産業育成や支援の観点より融資を行う船舶ファイナンスの有力行。同船建造の一部資金を融資。 |