東京海洋大学とシンガポールの独立系再生可能エネルギー発電事業者(IPP)ヴィーナ・エナジーのグループ会社である日本風力エネルギーは2023年5月23日、共同研究契約を締結した。日本での洋上風力発電の発展のため、日本沿岸及び海域の状況に応じた課題解決手法の開発を進めていく。7月27日発表した。
両者は、洋上風力発電事業の拡大に向けては、建設費用の低減と建設工期の短縮化の実現、先行利用者である漁業者との協調・共生のための課題解決が重要と考え、2021年に「洋上風力発電立地支援のための海洋自然条件調査手法の開発」に関する共同研究の協定を締結し、研究を進めてきた。
今回締結した共同研究では、日本沿岸や海域状況、波浪特性や海洋環境など日本特有の課題に対する解決手法を包括的に研究、評価していく。
まず、洋上風力発電所の建設時および運転管理時において、検討課題となる分野を広く検討し、洋上風力発電事業の安全性及び実現性の向上を図るための研究を実施する。
また、洋上風力発電所の稼働により影響を受ける周辺海洋環境や先行利用者である漁業者及び地域コミュニティーとの調和のための調査・評価手法の開発を進める。
具体的な研究テーマは下記の通り。各開発地域における課題や両者の研究リソースに鑑み、継続的に協議・調整する。
テーマ1:新しい洗掘防止工の開発
テーマ2:気象海象情報の予測
テーマ3:地盤条件に関する評価
テーマ4:漁業者及び周辺地域との調和のための調査・評価手法の開発
東京海洋大学の池谷毅教授はシンガポール新聞の取材に対し「共同研究にかかる費用(施設の利用費、実験材料、計測機器、データ、論文投稿費、旅費、その他)は規則に従って企業に負担いただいている。共同研究の契約は単年度の契約を更新してきている。今年度に最初の成果発表を予定している」と答えた。