技研製作所(本社:高知市)は2025年10月16日、鋼管杭回転切削圧入工法「ジャイロプレス工法™」がシンガポールのホテル建設事業で採用され、技研製作所の圧入機ユーザー総合支援サービス「GTOSS™ ASIA」の会員である現地企業のGuan Chuan Engineering Construction Pte Ltdが工事を実施したと発表した。Guan Chuan Engineering Construction社に対しては技研施工(本社:高知市)がコンサルティング支援を行った。
発表によると、「ジャイロプレス工法™」は、硬質地盤でも無振動・無騒音施工や省スペース施工、急速構築が可能で、シンガポール国内では2025年1月の研究施設建設事業での初採用に続き、今回採用された。
今回の現場は硬質地盤で、他工法では振動式の大型杭打ち機で施工する必要があったが、築古物件や集合住宅、オフィスが隣接しており、施工スペースの確保が困難なうえ、施工時の振動による建物への被害が課題になった。また、既存のコンクリート構造物を撤去する工程も必要となるため、工期が長引く恐れもあったという。
一方、「ジャイロプレス工法™」は、コンクリート等の障害物があっても杭を直接圧入できるため、残置したまま施工可能なことや、工期を短縮できる点も含め、制約条件をクリアできる技術であることから採用が決まったという。工事では、「ジャイロパイラー™ GRV1230」により、長さ9.5~12m、直径1,000㎜の鋼管杭138本を直接圧入。延長152mにわたり土留め壁を構築した。
技研製作所は「今回、制約条件を克服する画期的なソリューションとしてその有効性を実証したことで、今後も同様の課題を抱える医療・研究・教育機関など配慮が必要な施設の老朽化対策や、限られた敷地での施工が求められる都市再開発における採用が期待できる。今後は建築分野へはもちろん、シンガポール国内で高まる高潮・洪水対策のニーズを背景に、空港や沿岸部における堤防・護岸の強化事業に向けた技術提案活動も進めていく」としている。
工事概要は下記の通り。
【 工事名 】ホテル建設に伴う鋼管杭を用いた土留め工事
【工事場所】24 Peck Seah Street, Singapore
【 発注者 】24 PS ST PROPERTY PTE LTD
【元請業者】Kim Hua Construction Pte Ltd
【施工業者】Guan Chuan Engineering Construction Pte Ltd
【使用機材】ジャイロパイラー™ GRV1230
【杭材型式・寸法】鋼管杭138本(直径1,000㎜、長さ9.5~12m)
【圧入工工期】2025年4月29日~7月7日