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キリンHD、マラヤ大学と「プラズマ乳酸菌」摂取でデング熱症状抑制を確認

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キリンホールディングスのキリン中央研究所は2021年9月17日、マレーシアのマラヤ大学・熱帯感染症研究教育センター(TIDREC)との共同臨床研究により、理化学研究所バイオリソースセンターが所有するLactococcus lactis subsp. lactis JCM 5805(乳酸菌L.ラクティス プラズマ、「プラズマ乳酸菌」)を2カ月継続して摂取することで、デング熱の主な症状である「発熱」「筋肉痛」「関節痛」「目の奥の痛み」などの累積発症日数を抑制できることを確認したと発表した。

キリンHDは「安全性に問題がなく、医療インフラに依存しない食品を通じてデング熱様症状の緩和・重症化予防できることを確認した臨床研究結果は画期的な成果」と強調した。なお、同研究成果は、2021年8月22日開かれた第25回日本渡航医学会学術集会で発表した。

報道発表によると、デング熱には未だ決定打となる治療薬やワクチンがないが、「プラズマ乳酸菌」は抗ウイルス免疫の司令塔を活性化することから、デングウイルスを含む広範囲なウイルス感染症の予防に寄与することが分かっていた。

キリンHDとマラヤ大学・熱帯感染症研究教育センターのAbuBakar主任教授は2019年に共同研究を開始。2019年12月~2020年2月にかけて、クアラルンプール近郊のデング熱高発生地域に居住するマレーシア国籍の健常成人約100人に「プラズマ乳酸菌(約1,000億個)を含むタブレット」または「プラズマ乳酸菌を含まないタブレット」を8週間摂取してもらい臨床症状等を測定した。その結果、「プラズマ乳酸菌」の投与によりデング熱特有の臨床症状である「頭痛」、「関節痛」、「目の奥の痛み」の累積発生日数が減少した。
 

今後、キリンHDは「プラズマ乳酸菌」の抗ウイルス効果をデングウイルス以外の熱帯病ウイルスでも検証することなどを目的にマラヤ大学との共同研究体制を強化するとともに、東南アジアでの事業展開も加速するとしている。同社広報担当者は「各国の国民性や提携先が得意とする製品形態での展開を検討していく」と補足した。

ウイルス学の専門家で医師の山本直樹・東京医科歯科大学名誉教授(元・シンガポール国立大学医学部教授)は「デング熱は世界的に見ても感染者数が増えているにも関わらず、広く利用できる制御法がないのが現状である。乳酸菌は腸内環境を改善するイメージが強かったが、蚊が媒介する感染症に対しても効果を発揮する可能性が示唆されたのは、『プラズマ乳酸菌』がプラズマサイトイド樹状細胞というウイルス免疫に関わる細胞を活性化する特別な乳酸菌だったためと考えられる。乳酸菌は食品として手軽に、安価に、安全に摂取できるので、東南アジアにおける新たなデング熱対策に適用できる可能性がある」とコメントした。

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