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東北大・比熱帯医学研・NUS、RSウイルス感染リスクの経時的変化を明らかに

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東北大学大学院・医学系研究科の押谷仁教授(微生物学分野)らのグループは、フィリピン熱帯医学研究所とシンガポール国立大学(NUS)と共同研究を行い、小児急性呼吸器感染症の主要な原因ウイルスであるRSウイルスの家庭内での感染の多くは、家族がRSウイルスに感染して症状が出る前の期間も含めて約7日以内に発生することを報告した。見に見える症状が現れる前のRSウイルス感染者からも家族への感染が起きる可能性があることも分かった。これまでに知られていなかったRSウイルス感染リスクの経時的変化が明らかになったことで、家庭や施設での重点的な感染予防対策の考案につながると期待されている。「7日間の感染予防対策が必要」という。同研究成果は2021年7月3日にAmerican Journal of Epidemiology(電子版)に掲載された。東北大学が2021年7月14日発表した。

RSウイルス(Respiratory Syncytial Virus)は小児の呼吸器感染症の原因ウイルスとして知られ、主に5歳未満児で急性下気道感染症(急性の経過を辿る感染を原因とした気管支炎、肺炎など)を引き起こす。年長児や大人を含む家庭内での感染や保育施設などでの集団感染が多いことで注目されている。

日本の感染症発生動向調査の一部であるRSV感染症サーベイランスでは、年間10万例以上が検出されている。日本ではRSV感染に関連する入院・死亡の詳細なデータは発表されていないが、RSV感染症は特に乳児で重症化しやすく、世界で年間約6万人の5歳未満児の院内死亡に関連するとされている。

共同研究に参加したNUSのAlex R Cook准教授は同研究の解析方法に精通していて、データ解析および論文の執筆で貢献した。

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