ハウス食品グループ本社は、東京大学の五十嵐中客員准教授、二松学舎大学の小久保欣哉准教授との共同研究により、カレーを長期的かつ頻繁に摂食する食習慣は良好な認知機能と関係していることを確認した。日本人対象の疫学研究では初となる結果だといい、研究成果を2021年11月21日開かれた第28回日本未病学会学術総会で発表した。
2022年1月7日の発表によると、ハウス食品グループ本社は、シンガポールの疫学研究の結果としてカレー摂食頻度の高い高齢者で認知機能が良好に保たれていることが報告されていることに注目。カレーの摂食は良好な認知機能と関係する可能性が考えられたが、食べられているカレーの種類、喫食状況、人種などがシンガポールと日本では異なるため、日本人においても同様の傾向が確認されるかは不明だった。そこで、日本人の50歳以上の一般生活者を対象に、「調査直前1年間」(短期)と「成人以降で調査1年前まで」(長期)のカレー摂食頻度と、良好な認知機能に関係があるかを調査した。
その結果、長期のカレー摂食頻度では、「月1回未満」を1とした場合の認知機能スコアのリスク比が「月1回」で0.834、「月2~3回」で0.754、「月4回以上(週1回以上)」で0.718と低く、長期のカレー摂食頻度が高いほど認知機能が有意に良好だった。一方で、短期のカレー摂食頻度と認知機能の間には関係が見られなかった。
短期のカレー摂食頻度「高頻度群(月2回以上)」、または「低頻度群(月2回未満)」についても同様の解析を行ったところ、高頻度群において長期の摂食頻度が「月1回未満」より「月1回」で有意に認知機能が良好であることが分かった。一方で、低頻度群では長期のカレーの摂食頻度と認知機能との間に関係は見られなかった。よって、長期のカレー摂食頻度と認知機能との関係については、短期のカレーの摂食状況も重要であることが分かった。
ハウス食品グループ本社は「日本人の中高齢集団において、カレーを長期的かつ高頻度に摂食してきた習慣は良好な認知機能と関連する可能性が示唆された。 カレーの食習慣が認知機能維持に寄与している可能性が考えられたため、今後カレー摂食が認知機能に及ぼす影響について詳細に検討する予定だ。また、カレーやスパイスの摂食が他の健康機能に及ぼす良い影響についても継続して研究を行う」と誓った。