シンガポール政府は2025年7月3日、三井化学の淡輪敏取締役会長に国家勲章であるPublic Service Star(Distinguished Friends of Singapore)賞を授与した。シンガポール経済開発庁(EDB)が発表した。
三井化学は1966年のシンガポール進出以来、シンガポールに10億シンガポールドル(約1,138億円)を超える大規模投資を複数回にわたり実施し、Mitsui Elastomers Singaporeが独自開発した高機能エラストマー「TAFMER™」の生産能力拡大のための大規模施設拡張なども行った。また多用途高機能コーティング材製造企業であるSDC Technologiesを買収、2012年に光学用特殊コーティング材の製造拠点としてSDC Technologies Asia Pacificプラントを設立し、2016年には粉体・液体包装に使用される高機能シーラントフィルムの原料製造拠点であるPrime Evolue Singaporeも稼働を開始させた。
また、三井化学はEDBと協力し、東京工業大学(当時)修士課程進学のための奨学金をシンガポールの学生に提供している。この取り組みを通じ、これまで4名の学生が奨学金を受給している。
淡輪会長は1976年から三井化学に在籍、2014年から2020年まで代表取締役社長執行役員を務めた。三井化学にとって海外初の研究開発施設となった2011年の三井化学シンガポールR&Dセンター設立を主導した。

ターマン・シャンムガラトナム大統領から国家勲章を授与される三井化学の淡輪会長 Ministry of Digital Development and Information(MDDI)
淡輪氏は「シンガポール政府と三井化学社員一同が長年にわたり築き上げてきた友情と信頼に心から感謝する。1966年に接着剤製造会社を設立して以来、シンガポールは三井化学のアジア太平洋地域における事業拠点として機能してきた。また、エラストマープラントの拡張を含む数多くの事業展開を先導してきた」とコメントした。
EDBのプン・チョンブーン長官は「淡輪敏氏のリーダーシップの下、三井化学はシンガポールにおける製造設備、イノベーション、人材育成に多大な投資を行い、経済、企業、そして国民に恩恵をもたらしてきた。三井化学の地域拠点事業の拡大は、シンガポールの先進製造業のエコシステムを強化し、競争力を向上させた。強固なパートナーシップに感謝する」と祝辞を述べた。