日本郵船グループのシンガポールの船舶管理会社NYK Shipmanagement Pte Ltd(NYKSM社)は、オンライン操船訓練コース(Virtual ship handling course)を開設し、9月10日から順次操船訓練を開始した。トレーニングセンター内の操船シミュレータを用いた訓練に代わるオンライン操船訓練を導入することで、COVID-19における渡航制限下でも、各国籍の乗組員が渡航することなく、継続して安全運航教育・訓練を受けられるようになった。日本郵船が2020年10月8日発表した。
同社グループはこれまで、NYKSM社トレーニングセンターの操船シミュレータを使用し年間約100人の操船教育・訓練を実施してきたが、COVID-19の拡大により渡航が制限されるなかで、船舶の安全運航教育・訓練の継続的な実施が課題となっていたという。
オンライン操船訓練コースでは、NYKSM社トレーニングセンターにある操船シミュレータルーム内のビデオカメラ映像と接続した機器の画像を、オンライン会議ソフトウェア上で共有する。受講者はオンライン会議ソフトウェアを介して操舵号令など、船を操船するための指示を行うことができるといい、リアルタイムでのシミュレータ映像の確認や、レーダーや電子海図など、操船に必要な航海計器も同時に確認できで、実際のシミュレータを用いた訓練と遜色ないという。
また、PSA Marineの訓練機関PSAM Academyと提携したコースでは、水先人として豊富な経験を持つインストラクターにより、その操船知識と技術を得られるという。
日本郵船の広報担当者は「全ての操船訓練をオンライン化するわけではない。受講生の経験の度合いや操船訓練の目的により使い分けを行っていく」の述べた。今後はオンライン操船訓練だけではなく、e-learningやオンライン学習、訓練等を積極的に導入し、COVID-19禍においても安全運航のための継続した乗組員教育・訓練を実施していくとしている。