三菱重工業グループの三菱造船は「DIA-SOx®シリーズ」として展開する排ガス中の硫黄酸化物(SOx)を浄化する舶用SOxスクラバーシステムの搭載工事を年初から8月末までに3船種22隻完了した。三菱重工業が2020年9月4日発表した。
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により海外現地での対応が難しい状況にある中で、中国およびシンガポールの現地エンジニアとITツールを用いてコミュニケーションをとりながらリモートコミッショニング(遠隔試運転)を進め、スケジュール通り完工したという。
今回搭載工事が完了した各船は、日本海事協会(NK)、英国・ロイド船級協会(LR)、米国・アメリカ船級協会(ABS)などの各船級協会から承認を取得した。
海上輸送に対しては、2020年1月1日以降、ECA(Emission Control Area:汚染物質の排出規制海域)を除く世界の全海域で、舶用燃料中の硫黄分規制がそれまでの3.5%以下から0.5%以下に強化された。また、3月からは規制値を超える硫黄分濃度の舶用燃料を船上に保持することも禁止されている。
SOxスクラバーを搭載し船籍国の承認を取得した船舶は、スクラバーを稼働することで従来の舶用燃料を継続使用できる。