三菱重工業は、ベトナム南部Can Tho(カントー)市に位置するO Mon(オモン)第1火力発電所の油から天然ガスへの燃料転換プロジェクト向けに、中核となるボイラーのガスバーナーなどの主要機器を受注した。2025年11月5日発表した。

調印式
発表によると、オモン第1火力発電所は1号機(33万kW)、2号機(33万kW)で構成され、それぞれ2009年、2015年に運転を開始した。総出力は66万kWで、既設の主要機器は三菱重工業が納入している。
燃料転換プロジェクトは、ベトナム電力公社(Vietnam Electricity:EVN)グループの第2発電総公社(Power Generation Corporation 2:EVNGENCO2)が手掛ける。EPC(設計・調達・建設)の契約者は、ベトナム建設省傘下のLILAMA CorporationとEVN傘下の第3発電総公社(Power Generation Corporation 3:EVNGENCO3)によるコンソーシアムで、三菱重工業は同コンソーシアムから主要機器を受注した。排ガスに含まれるNOx(窒素酸化物)を無害化する脱硝装置を追設してNOx排出量を削減し、将来的な環境規制の厳格化にも対応できるようにする。三菱重工グループのシンガポール法人であるMitsubishi Power Asia Pacific Pte.Ltd.が、EPCのエンジニアリング支援および技術指導員の派遣を行い、完工後もプラントの長期安定運転をサポートする。
三菱重工業は2025年8月、オモン第1火力発電所に隣接するオモン第4火力発電所向けにも、115万5,000kW級のガスタービン・コンバインドサイクル(GTCC)発電設備の中核を担う最新鋭のJAC(J-series Air-Cooled)形ガスタービン2台を受注しており、2028年の完成を目指している。「オモン第4火力発電所向けGTCC技術の提供に加え、オモン第1火力発電所向けにボイラーの燃料転換技術を提供することにより、『ベトナム電源開発計画VIII(PDP8)』への支援をさらに強化し、2050年までにネットゼロエミッションを達成するというベトナムの国家目標にも貢献する」としている。