三菱ふそうトラック・バスは、シンガポールのスタートアップ企業True 2 Materials Pte,Ltd (CEO:Richard Carlow、T2M社)と共同で、電気自動車(EV)の使用済みバッテリーの「材料回収」を行う実証プラントを川崎製作所構内に設置することを決定した。実証プラントを用い、使用済みEVバッテリーをバッテリーセルメーカーがそのまま使用できるアノード・カソード(正負極材)および電解質として回収する実証試験を2025年初頭に実施する。2024年9月10日発表した。
世界的な脱炭素の流れによるEV需要の高まりを受け、今後使用済みEVバッテリーは急増していくと予想されている。使用済みEVバッテリーの処理には、バッテリーのまま他の用途に再利用する(二次利用)ほか、分解して原材料や部材にリサイクルする方法などが考えられる。
T2M社は使用済み・廃棄バッテリーを正負極材・電解質に再生する技術「トータルマテリアルリカバリー(TMR)」プロセスを開発している。TMRでは、従来の乾式精錬・湿式精錬とは異なるナノレベルの分子技術を活用しており、原料ロスを最小限に抑えるとともに資源価値を維持しつつ、環境負荷の低い方法でバッテリーを材料に復元できるという。
三菱ふそうトラック・バスは実証試験を通じ、電気小型トラック「eCanter」などEVトラックやEV乗用車の使用済みバッテリーを、追加の処理が不要でハイグレードな配合材料として再利用する目的で正負極材および電解質として回収する事業を検討する。まず、日本国内での事業化を目指し、将来的には海外への展開の可能性も検討する。