出光興産とマレーシア国営石油・ガス会社Petroliam Nasional Berhad(President & Group Chief Executive Officer:YM Tan Sri Tengku Muhammad Taufik Tengku Kamadjaja Aziz、ペトロナス)は2023年9月21日、持続可能な航空燃料(Sustainable Aviation Fuel、SAF)のサプライチェーン構築・強化に向けた共同検討に関するMOUを締結した。10月5日発表した。
同MOUの下で、両社は、SAFの安定的かつ効率的なサプライチェーンを構築するために、バイオ原料のより大規模な確保、生産コスト分析、安全・安定性などの実現可能性調査を行う。
また、その一環として、東南アジアやオセアニアに分布する非可食のマメ科植物で種子からの油収量効率が高くSAF原料としての活用が期待されるポンガミアや、熱帯・亜熱帯に広く分布する落葉低木で種子が油分を多く含むことからSAFやバイオディーゼルの現用としての活用が期待されるジャトロファなど、非食用油原料の供給可能性調査を行う。さらに、SAFの流通・販売網を確立し、航空業界がより安定的にSAFを確保できるよう取り組む。
出光興産本社(東京都千代田区)で行われたMOU締結セレモニー。左から、出光興産の木藤代表取締役社長、澤正彦取締役常務執行役員、ペトロナスのMohd Yusri Mohamed Yusof Managing Director、Datuk Sazali Hamzah Executive Vice President
ペトロナスは、ジョホール州ペンゲランのバイオリファイナリーとマラッカのco-processingを通じて2026年までにSAFやその他のバイオ燃料の大規模生産能力を持つ予定で、航空業界だけでなく輸送やF1とそのロジスティクスチームを含む市場を獲得するという。
出光興産は、2030年までにエアラインによる燃料使用量の10%をSAFに置き換えるという日本政府および航空業界の目標実現に向け、年間50万KLのSAF生産体制の構築に取り組んでいる。エタノールを原料とするATJ(Alcohol to Jet)プロセスや、廃食油を原料とするHEFA(Hydroprocessed Esters and Fatty Acids)プロセスによるSAF製造検討に取り組んでおり、2026年度から供給開始予定の千葉事業所でのATJ技術による実証に加え、2020年代後半の供給開始を目指し、HEFA技術も対象に2号機以降の展開を検討している。