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マラッカ・シンガポール海峡の電子海図更新・刊行、マルチビーム方式で測量

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2005年以降、日本の協力によって作成が進められてきたマラッカ・シンガポール海峡の電子海図が2023年7月に新たに更新・刊行されたことを受け、9月13日にインドネシア・ジャカルタのシャングリ・ラ ホテルでASEAN水路測量ワークショップが開催された。日本と、マラッカ・シンガポール海峡沿岸のインドネシア、マレーシア、シンガポールの海事当局者等が同事業の経緯、成果等に係るプレゼンテーションを行った。

ASEAN水路測量ワークショップ

主な出席者
【  日本  】国土交通省海事局 宮武次長、ASEAN日本政府代表部 紀谷大使、マラッカ海峡協議会 春成理事長
【インドネシア】ノフィー運輸省次官、アントニー運輸省海運総局局長代理
【  マレーシア 】アルムガン海事局次長
【シンガポール】セガール海事港湾庁副長官

マラッカ・シンガポール海峡は、アジアと欧州・中東をつなぐ重要な海上輸送路で、日本の輸入原油の9割が通航する国際海峡。狭い海峡を多数の船舶が通航する難所であることから、日本による水路測量・航路標識整備等の協力により分離通航帯が設けられ、船舶の安全な航行に貢献している。

マラッカ・シンガポール海峡の海図は、1996年~1998年にJICA(国際協力機構)と沿岸3カ国との共同水路測量により作成されたものの、その後の潮流による海底地形の変化で浅瀬等の危険箇所が確認されたことから再度測量を実施することとなり、浅瀬等があり、緊急に測量を行う必要がある5海域についてはフェーズ1、フェーズ1以外の海域で30m以浅の海域(全分離通行帯の約1/3に相当)についてはフェーズ2と位置づけられた。

フェーズ1(2015~2016年)については日本の民間団体からの資金・技術協力及び沿岸国の自己財源・現物提供により、また、フェーズ2(2017~2020年(新型コロナウィルス感染拡大のため2023年末まで延期))については「日・ASEAN統合基金」(JAIF: Japan-ASEAN Integration Fund)を活用して沿岸3カ国と日本が共同実施した。日本側は、マラッカ海峡協議会が実施機関として事業の進捗・資金管理を行うとともに、日本の民間事業者が測量を行った。

今回の事業では、過去の測量で用いたシングルビームに代わりマルチビーム方式を用いた。精度を向上させた大規模な共同水路測量調査を実施したことにより、同海峡の電子海図がより精密に更新・刊行された。

国土交通省(日本)は、「新たに精密な電子海図が更新・刊行されたことにより、船舶航行の安全性と海上貿易の安定性の向上が期待される」としている。

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