ラクオリア創薬(名古屋市)の導出先である韓国のHK inno.N Corporation(HKイノエン社)は2023年1月11日、ラクオリア創薬がHKイノエン社に導出した胃食道逆流症治療薬tegoprazan(韓国販売名K-CAB®)について、サブライセンス先であるシンガポールのUnited Italian Trading Corporation(Pte)Ltd(UITC社)がシンガポール保健科学庁(Health Sciences Authority)より販売承認を取得したと発表した。
ラクオリア創薬の1月12日の発表によると、Tegoprazanはラクオリア創薬が創出したカリウムイオン競合型アシッドブロッカー(Potassium Competitive Acid Blocker : P-CAB)と呼ばれる新しい作用機序の胃酸分泌抑制剤で、P-CABは胃食道逆流症治療の第一選択薬であるプロトンポンプ阻害剤(PPI)とは異なるメカニズムでPPIよりも速やかにかつ持続的に胃酸分泌を抑制するという特長を持つ新世代の治療薬という。
ラクオリア創薬はHKイノエン社との間で、tegoprazanの開発・販売及び製造の再実施許諾権(サブライセンス権)付き独占的ライセンス契約を締結している。Tegoprazanは、HKイノエン社により販売名「K-CAB®」として2019年から韓国で販売されていて、2022年の韓国国内売上(院外処方実績)は11月時点で累積1,126億ウォン(約112億円/1韓国ウォン= 0.10円、前年同期比14%増)となっている。
シンガポールについては、HKイノエン社は2020年にUITC社との間でサブライセンス契約を締結し、以後、UITC社が販売承認の取得に向けた取り組みを進めてきたが、2023年1月11日、シンガポール当局による審査が完了し、販売承認の取得に至った。承認が得られた適応疾患は、びらん性胃食道逆流症、非びらん性胃食道逆流症、胃潰瘍、およびヘリコバクター・ピロリ除菌補助療法の5つ。今回のシンガポールでの販売承認は、韓国、モンゴル、中国、フィリピン、インドネシアに次ぐ6カ国目となった。
ラクオリア創薬はHKイノエン社とのライセンス契約に基づき、HKイノエン社がサブライセンス先から得る収益の一定割合を受け取る権利を保有している。「今回のシンガポールにおける販売承認により受け取る一時金はないが、Tegoprazanの販売国拡大は中長期的に事業収益および企業価値の向上に寄与する」としている。