東京大学と北海道大学は2019年6月5日、シンガポール科学技術研究庁(A*STAR)のByrappa Venkatesh博士らとの国際共同研究グループが軟骨魚類「ゾウギンザメ」からミネラルコルチコイド受容体の単離に成功し、▽ヒトではミネラルコルチコイド受容体の働きを阻害するプロゲステロンやスピロノラクトンがゾウギンザメの受容体を活性化している ▽プロゲステロンがミネラルコルチコイド受容体の原始的なリガンド(特定の受容体に特異的に結合する物質)で、生殖器官で新たな機能を果たす可能性を示唆している ▽発現解析から生殖器官で発現量が多い――ことを発見したと発表した。
ミネラルコルチコイド受容体は、ヒトではアルドステロンというステロイドホルモンを受容し、腎臓においてナトリウムの再吸収促進やリン酸の排泄などを促すことにより、体液の浸透圧調節に重要な役割を果たしている。
研究グループは、「今回の研究成果は、生物進化におけるステロイドホルモンとその受容体による内分泌制御機構の確立の解明に大きく寄与するものだ。また、ヒトのステロイドホルモン受容体は多くの疾患とも関連している。ステロイドホルモン受容体の分子進化の解明により関連疾患の治療や創薬開発にも繋がることが期待される」としている。
研究成果は日本時間2019年6月5日午前3時(米国東部夏時間2019年6月4日午後2時)公開のScience Signaling誌に掲載された。