日本郵船は、アストモスエネルギーと共同で、海事産業の脱炭素化の推進を目的としたNPO法人Global Centre for Maritime Decarbonisation(GCMD)が設立した船舶用バイオ燃料実証プロジェクトに参画した。2022年8月2日発表した。
発表によると、船舶用バイオ燃料は、既存の船舶エンジンやインフラをそのまま活用でき、燃焼時にCO2は発生するものの、植物や廃食油が原料でありカーボンニュートラルと見なされるため、脱炭素に向けた有力な次世代燃料候補の一つとされている。
一方、まだ本格的に実用化されていないため、既存燃料とバイオ燃料の混合比率など検証が必要なデータも多いという課題がある。
また、バイオ燃料の製造・輸送工程等で化石燃料を使用しており、LCA(Life Cycle Assessment)評価においてバイオ燃料はネット・ゼロエミッションではないとされ、その認証スキームも国際的に統一されておらず、バイオ燃料に関わるサプライチェーンの透明性にも課題があるという。
GCMDは2021年8月にシンガポール海事港湾庁(MPA)を中心に設立されたNPO法人で、透明性あるバイオ燃料のサプライチェーンを確立し、海事産業の脱炭素化を推進するために、船舶用バイオ燃料実証プロジェクトを開始した。
同プロジェクトには日本郵船とアストモスを含む18の企業・団体が参画しており、総額約1,800万ドルの投資規模で今後実証実験が行われる予定。
具体的には、海運会社がバイオ燃料を使用して試験航行を行い、GCMDにバイオ燃料使用に関するデータを提供、GCMDが提供されたデータを取り纏めて参画各社にフィードバックする。「透明性のある適切なバイオ燃料のサプライチェーンを構築することによって船舶用バイオ燃料の国際的な基準を形成し、海事産業がライフサイクルの観点から正しくGHG排出量を削減できるようになることを目指す」としている。