人材紹介事業のジェイ・エイ・シー・リクルートメントは、2022年第1四半期(1‐3月)のアジア各国のホワイトカラー人材紹介市場の動向をまとめ、4月27日概要を発表した。同社の調べによると、シンガポールの求人数は対前年同期比152%、対前四半期比151%で推移した。
第1四半期中のシンガポールの国内状況については、「1月、2月の製造業生産高指数は前年同月比で上昇し、5カ月連続で増加した。電子部品や医薬品、バイオなどの業界で高い伸びが見られた。また、3月に通貨金融庁(MAS)が発表した最新の民間エコノミスト調査では、引き続き半導体関連の製造業を中心に堅調な成長が続くとした。さらに、4月1日からはコロナ規制緩和で、渡航者の入国規制が大幅に解除されることから、観光関連産業の回復も見込まれている」と説明した。
一方、雇用関係法制に関して「人材開発省(MOM)は3月上旬に就労ビザ取得基準の改定を発表し、今年9月以降EP、Spassの発給基準となる最低基本月給額の更なる引き上げ、そして来年9月にEP審査において新たなポイント制度『COMPASS(コンパス)』を導入することを明らかにした」と振り返り、「個人審査に加え、企業内の国籍多様性やローカル人材採用の促進などが審査基準に加わることで、ますます外国人雇用が難しくなる」と予想した。
企業の採用動向については、「例年通り、年始より企業からの求人問い合わせが増加し、業界、ポジションを問わず求人需要があった。とりわけ営業・マーケティングポジションの求人が多く、今後の景気回復を見越し、営業強化・売上アップに向けた人材採用の動きもある。ポストコロナに向けた気運が高まってきている」としたうえで、「年末ボーナス後~旧正月にかけてのこの時期は、転職活動が活発になり、退職者が増えることから、そのリプレイスメントポジションの求人需要が高まった。コロナ前は求職者の希望給与は10%アップ程度だったのに対し、現在は15~20%アップへと希望給与の相場が上昇している一方で、企業側の提示給与は昨年と同程度に据え置かれるケースも多く、複数内定が出ている求職者を自社で獲得するのに苦戦する企業も多く見受けられた」と状況を解説した。
一方で、求職者の動向に関しては、「シンガポール人求職者は、コロナ規制緩和で明るい兆しが見えてきた中、これまで転職活動を控えていた層が動き出している。ただ、積極的に動きたいというよりは、良い案件があればいつでも動けるように情報収集しているというスタンスの人が多い印象だ。日本人求職者はシンガポール在住者を中心に登録者数が3月に増加した。シンガポール島内在住者向けの求人案件が増えていることもあり、国内の登録者数が増加した。シンガポール国外にいる人は引き続きタイミングをみて転職を検討している」と状況を解説した。