独DHLエクスプレス(DHL)が2021年3月より、アジア太平洋地域と米国・欧州間で高まる輸送ニーズに対応するため、航空ネットワークを増強している。ボーイング777貨物機により合計で週2,350トンの貨物キャパシティを新たに供給し、配送スピードを向上させる。DHLジャパンが2021年4月12日発表した。
具体的には、DHLエクスプレスのパートナー航空会社カリッタエアが運航する専用機の一部が米国から豪シドニー経由でシンガポールのDHLエクスプレス サウスアジアハブまで週5便運航し、その後、シンガポールから香港および日本経由で米国に帰着する。
加えて、カリッタエアはシンガポール・シドニー間で新ルートを週6便運航する。
他に、DHLエクスプレスとルフトハンザ・カーゴによるジョイントベンチャー(JV)エアロロジックによる運航機が週6便、ライプチヒからバーレーン経由で香港とシンガポールに運航する。610トンのキャパシティを追加する。
2021年4月中にすべてのフライトが運航を開始する。シンガポールでカリッタエアとエアロロジック両便の搭載貨物を積み換えられるスケジュールを組むことで、アジアの各地域や米国、欧州向けビジネス拡大を図るオセアニア地域の顧客への存在感を高めるのが狙いという。
DHLエクスプレス アジアパシフィックのケン・リーCEOは、「オセアニアを発着する貨物量は飛躍的に増加している。新たな専用便への投資は、DHLの自信の表れだ」とコメントした。
成長のけん引役はアジア太平洋地域の越境ECで、同社によると同地域でのオンライン販売の市場規模は2024年までに2.5兆ドルに達すると見込まれていて、消費者のPCやモバイルでの購買体験がさらに向上することで、引き続き加速すると予想する。実際、2021年1月のアジア太平洋地域の航空貨物需要は、新型コロナウイルスの感染拡大前(2019年1月)レベルに回復しているが、旅客便の減少に伴い貨物キャパシティが不足しているという。なお、豪州とニュージーランドがオセアニアを発地とする全貨物の90%以上を占める。
DHLエクスプレスアジアパシフィックの航空ネットワークは、香港セントラルアジアハブ、上海ノースアジアハブ、シンガポールのサウスアジアハブ、バンコクハブの4つの主要なハブ空港からなるマルチハブ戦略で運営されており、各地域の50のDHLエクスプレス ゲートウェイと繋がっている。シンガポールでは、11の専用航空機が毎週340便以上運航している。
なお、名古屋(中部国際空港)の寄港目的は、給油のためのテクニカルランディングで、現段階では貨物の積み下ろしはしていないという。