シンガポールでの事業開始から今年40周年を迎えたデンカの山本学社長は2020年11月6日、コメントを発表した。また、シンガポール経済開発庁(Singapore Economic Development Board/EDB)のExecutive Vice Presidentのダミアン・チャン氏がコメントを寄せた。
シンガポール事業40周年にあたり、シンガポール政府、お客様、従業員をはじめとする関係者の皆様に心から感謝申し上げる。グローバルにビジネスを展開し、“真に社会に必要とされる企業”を目指すためグループ全体の生産性向上を図る当社にとって、高い教養とスキルを身につけた多様な人材を有し、世界トップレベルのIT先進国であるシンガポールは重要な戦略拠点である。EDBの支援をいただきながらDXの導入による生産性革新を加速し、さらなる事業展開を進めていく。
デンカは過去40年以上にわたりシンガポールとの関係を築いてきた。同社の継続的な成長は、シンガポールに対する信頼と信用の証である。シンガポールの製造拠点の発展、生産プロセスのデジタル化、そして人材育成の強固な基盤構築に向けたデンカの長年にわたる献身的な努力を私たちは心強く思っている。こうした取り組みにより、我々シンガポール人に素晴らしい雇用機会が生まれ、スキル向上に繋がった。デンカの皆様のシンガポールへの貢献に心から感謝するとともに、スペシャリティーの融合体としてデンカがさらに発展し、今後も私たちとのパートナーシップを継続していくことを楽しみにしている。
デンカは、マンガン乾電池や高圧ケーブル被覆材向けアセチレンブラックの生産強化を目的に、日本の化学メーカーの先駆けの一社として1980年9月20日シンガポールに進出。その後アセチレンブラックに加え、半導体封止材向けに世界的シェアを有する溶融シリカから様々な用途に拡大するスチレン系樹脂、塩ビ合成繊維Toyokalon®まで最先端技術を有する事業を展開し、現在4拠点で7製品を生産している。
2009年アジア・パシフィック地域の事業統括持株会社を設立。2013年には周辺国でのインフラ投資拡大に対応するため特殊混和材の東南アジア事業統括拠点を設立し、2016年には熱帯感染症対策に貢献するためライフサイエンスの研究拠点を設立した。シンガポールの事業拠点は、デンカグループ最大規模の売上高5億米ドル、営業利益6千万米ドルとなっている。また、40年間で約300人の雇用を創出した。
現在、リチウムイオンバッテリー向け超高純度アセチレンブラックの能力増強とともに、Denka Advantech Pte.Ltd.が約40億円を投じてxEVや5G向けなど次世代の半導体に使用される球状アルミナ製造設備、倉庫などを建設している。また、Denka Singapore Pte.Ltd.は約27億円を投じてポリスチレン生産設備のMS樹脂製造設備への改造工事を行っており、LED導光板用途で高いシェアを持ち付加価値の高いMS樹脂の能力増強を進めている。
また、スチレン系樹脂の生産を行うセラヤ工場をデンカグループのモデル工場として、リアルタイムでの需要予測やビッグデータの解析などスマート工場化に向けた積極的なIoT投資を行っているといい、2022年末までにさらにシンガポールで40人以上雇用する予定という。
◇デンカのシンガポール事業の沿革
1980年 Denka Singapore Private Limited (DSPL) 設立
1984年 Merbau工場完成。アセチレンブラック生産開始
1989年 Denka Advantech Private Limited (DAPL) 設立
1991年 Tuas工場完成。溶融シリカ生産開始
1997年 Seraya 工場完成。ポリスチレン樹脂生産開始
2006年 Seraya 工場にてSBC樹脂「クリアレン®」、MS 樹脂生産開始
2009年 地域統括持株会社Denka Chemicals Holdings Asia Pacific Private Limited(DCHA)設立
2012年 Seraya工場にてデンカIP®生産開始
2013年 South工場完成。Toyokalon®生産開始
特殊混和材東南アジア事業の統括拠点Denka Infrastructure Technologies Private Limited (DIPL) 設立
2016年 ライフサイエンスの研究拠点Denka Life Innovation Research Private Limited(DLIR)設立
2017年 スマート工場化に向けデジタル技術を用いた5カ年の生産・業務改革プロジェクト開始
<予定>
2021年 Tuas工場にて球状アルミナ生産開始
Seraya工場にてMS樹脂生産能力倍増