DBS銀行は2020年5月7日、Covid-19の状況下、シンガポールの物流セクターのデジタル変革を推進する取り組みの一環として、シンガポール初のロジスティクスセクター向けキャッシュレス購入カードDBS Logistics Purchasing Card(DBS P-Card)を発売した。
DBS P-Cardは、ロジスティクスSME(中小企業)にほぼ非接触のデジタルソリューションを提供し、コンテナデポでの料金収受を決済し、現在の現金ベースのプロセスを簡素化する。
シンガポールのすべてのコンテナデポでDBS P-Cardが利用可能になると、各ドライバーは支払いにかかる時間1日あたり約30分節約できると見込む。また、ドライバーやレジ係が現金の取り扱いによりバクテリアやウイルスにさらされる機会を減らす効果もあるとしている。
現在、大半の運転手は、取り扱い処理、洗浄、修理などコンテナデポでのさまざまなサービスの支払いのために、小額の現金約200〜500シンガポールドルを携行しており、支払いのためにレジで待機している。現金不足の運転手はオフィスに連絡して、現金または小切手を届けてもらうか、またはオフィスが不足分をコンテナデポに銀行振込により送金するのを待っている。DBSは「これらの遅延により生産性と時間が失われている。より高付加価値のタスクに費やすことができた可能性もある」と指摘する。また、コンテナデポ側に関しても、「現金の集計に際して問題が引き起こされる可能性がある。現金や小切手はすべて銀行の支店に持参して預ける必要もある」と、リスクと手間について指摘した。
DBSのSMEバンキンググループヘッドのJoyce Tee氏は、「紙ベースの手作業による支払いおよび回収プロセスの運用効率の悪さは、シンガポールのロジスティクスおよびサプライチェーンセクターにおける長年の悩みの種であり、Covid-19の状況が安定した後、物流SMEの成長を妨げる可能性がある。DBSは業界のパートナーと密接に連携して、実行可能なソリューションを探してきた。Covid-19により経済的に混乱した現在の状況は、これらのソリューションのいくつかをテストおよび実装する機会を提供した。危機が過ぎ去ったとき、グローバルな物流ハブであるシンガポールの基盤を形成するSMEのビジネス活動は活発になる」とコメントした。
ロジスティクス部門はシンガポールの国内総生産の約7%を占めている。