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NTT Ltd.、シンガポール・緬・印間の新たな光海底ケーブル「MIST」建設開始

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NTT Ltd.グループ(NTT Ltd.)は、東南アジアにおける国際海底ケーブル事業を担う戦略的合弁会社Orient Link Pte. Ltd.を通して、シンガポール・ミャンマー・インド間の新しい大容量光海底ケーブル「MIST」の建設を2019年12月から開始した。2019年12月13日発表した。

発表によれば、「MIST」の総延長は約11,000km(将来拡張を含む)。NTT Ltd.は、既存の国際海底ケーブルであるAsia Submarine cable Express(ASE)、Asia Pacific Gateway(APG)、Pacific Crossing-1(PC-1)と現在建設中のJUPITERを通じて、アジアからアメリカへ至るグローバルネットワークを保有しており、「MIST」との組み合わせによりインドから米国まで繋がるグローバルネットワークを実現する。

アジアではSNS、Eコマース、企業向けクラウドサービスなどを提供するデジタルプラットフォーマーと呼ばれる企業がデータセンター進出を加速しており、携帯電話の普及や5Gのサービス開始など、海底ケーブルを経由する国際データ通信の急拡大が見込まれている。NTT Ltd.は、域内のデータ通信の中心地シンガポールを拠点に、インターネット通信量の伸びが著しく今後も海底ケーブル需要増加が見込まれるミャンマー、インドを繋ぐことで事業拡大を図る。

NTT Ltd.は、シンガポール、ミャンマー、インド各国でデータセンターを運営し、陸揚局とデータセンターを自前で構築した大容量ファイバーで接続することで、国内部分のデータ伝送の高速化を図っている。今回は、当該海域で初めて、現地の通信会社を間に挟まずにOrient Link単独で建設を実施しており、データセンターから顧客設備間の接続キャリアを自由に選択できることによる柔軟性の向上も実現するという。

また、最先端のファイバーや設計技術の導入により、シンガポール・ミャンマー・インド間の海底ケーブルとしては最速の400ギガビット(400Gbps)の光波長多重伝送方式を用いて240Tbpsを実現する。1秒間に約6時間分のハイビジョン映像を転送できるという。

また、最新の波長選択機能(WSS ROADM:ROADM:Wavelength Selective Switching Reconfigurable Optical Add Drop Multiplexing)を搭載したケーブル分岐装置を利用したことで、海底に敷設したケーブルの伝送ルート・容量などを遠隔から変更可能で、インド近海で自然災害などの予期せぬケーブル不具合が生じた場合には、遠隔操作により伝送ルートを変更できるため、顧客のビジネス継続性を確保できるという。

NTT Ltd.は、「アジアで保有するケーブル容量の拡大や、自社データセンターへの海底ケーブルの引き込み、ケーブルルートの冗長性担保などを通じて、より信頼性の高い国際ネットワークサービスを実現する。加えて、データセンター・クラウドサービス・ネットワークサービスなどを一体的に提供することで、顧客のグローバルビジネス拡大に貢献していく」としている。

MISTとOrient Link Pte.Ltd.の概要は下記の通り。

◇MIST
【設計容量】最大240Tbps/12FP(拡張可能性含む)
【総延長距離】約11,000Km(拡張可能性含む)
【当初陸揚げ予定地】シンガポール、ミャンマー、インド(ムンバイ、チェンナイ)
【総投資計画額】約4億米ドル
【運用開始予定】2022年6月

◇Orient Link Pte. Ltd.,
【 所在地 】シンガポール
【 設立日 】2019年10月10日
【 資本金 】1億1,900万米ドル(株主:NTT Ltd.、株式会社海外通信・放送・郵便事業支援機構、WEN Capital Pte. Ltd.)
【 代表者 】佐藤吉雄
【事業概要】国際海底ケーブルの建設、販売および保守運用

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