三菱商事は2019年9月20日、原油・石油製品トレーディングのシンガポール連結子会社Petro-Diamond Singapore (Pte) Ltd.(PDS社)において、原油デリバティブ取引に関連して総額約3億2,000万米ドル(約346億円)の損失発生が判明したと発表した。対象のデリバティブ取引は手仕舞い、損失を確定したが、その他関連取引費用等を含めた損失の最終確定額は精査中という。
発表によれば、PDS社が行っていた中国向け原油取引において、担当していた元現地プロパー社員(中国籍)が社内規程に違反し、中国向け原油取引に関連したヘッジ取引と偽って、今年1月よりデリバティブ取引を繰り返し、デリバティブ取引で発生した損失は、PDS社のリスク管理システム上のデータを変更して、顧客との取引に関連したヘッジ取引であるかのように装い、PDS社の損失が社内で認識できなくなる操作を繰り返していた。
7月以降、原油価格が下落し、デリバティブ取引損失が拡大した結果、大きな損失に繋がった。8月中旬になって当該社員が欠勤したことを受け、担当していた原油取引やデリバティブ取引を精査し判明したという。
三菱商事とPDS社は、同様の事案が他にないか、デリバティブを扱う部局及びグループ会社を含め調査した結果、現状、問題無いことを確認したとしている。
PDS社は、当該社員を9月18日付で解雇し、9月19日付で刑事告訴した。
業績に与える影響は精査中としている。