化学品のデンカは2019年９月９日、シンガポールの連結子会社Denka Singapore Private Limited（DSPL社）でのポリスチレン（汎用ポリスチレン樹脂、製品名：Denka Styrol）の生産を停止し、生産設備を改造して、MS樹脂の能力増強を行うと発表した。設備改造に約27億円を投資する。
発表によると、MS樹脂は液晶テレビ及びモニターの大画面化・狭額縁化により需要が急増しているバックライト用導光板をはじめとする光学用途、中国を中心とするアジア太平洋地域において成長著しい化粧品用容器等の非光学用途の拡大もあり、現在供給能力が不足している状況だという。
デンカは、1997年にシンガポールで高強度汎用ポリスチレン樹脂 “MW-1”を中心に、ポリスチレンの生産販売を開始。世界30カ国以上に販路を拡大したが、市場は供給過剰であることから、ポリスチレンの生産を停止し、より付加価値が高いMS樹脂の製造設備へ転換する。
既存ポリスチレン生産設備の改造でMS樹脂の生産能力を倍増（増強能力プラス７万トン、合計14万トン）し、将来の需要拡大に対応するとともに、現在の１基生産体制を２基体制としBCP対応を強化する。
投資概要は下記の通り。なお、連結業績への影響はないという。
【投資拠点】Denka Singapore Private Limited Seraya Plant（40 Seraya Avenue, Singapore 627873）
【投資内容】ポリスチレン製造設備の改造によるMS樹脂能力増強
【投資金額】約27億円
【稼動時期】2021年上半期（ポリスチレンの販売終了：2020年末）