アジア開発銀行(ADB)の神田眞人総裁は2025年6月2日、シンガポールにおいてローレンス・ウォン首相と会談し、ADBシンガポール事務所の規模を倍増する計画を表明した。あわせて、ASEANパワーグリッドに対し100億ドル規模の資金を拠出する方針を再確認するとともに、2027年にASEAN議長国を務めるシンガポールがその準備を進める中、地域協力の一層の深化が重要であることを強調した。
ADBシンガポール事務所は2020年に開設された。発表によると、同事務所の規模が倍増されることで、ADBの2030年までに民間セクター向けファイナンスを年間130億ドル規模へと4倍に拡充する目標の実現が加速される。
神田総裁は、ASEANパワーグリッドの推進のため公的部門・民間部門向けに今後10年間で最大100億ドルの資金供与を行い、国境を越えた電力相互接続の整備、各国の送電網拡充ならびに再生可能エネルギーの導入促進を含む事業を支援する方針をあらためて表明した。ADBは、シンガポールエネルギー市場監督庁(EMA)と連携し、周辺国から最大6ギガワットの再生可能電力を輸入するシンガポールの構想を支援している。
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