五洋建設は2025年2月7日、2025年3月期第3四半期決算を発表した。
海外建設事業の概況については、主要市場であるシンガポール、香港及び東南アジアの建設投資は堅調だったが、日本国内同様、建設資材価格の高止まりや労務費の上昇が続いたと説明した。主にシンガポール、香港の大型工事が順調に進捗したことにより、売上高は1,069億円(前年同四半期比3.5%増)と増加したが、2025年3月期に概成及び完成の不採算工事で追加工事損失を計上したことにより、セグメント損失は143億円(前年同四半期は22億円のセグメント損失)となった。
2025年3月期の連結業績予想については、2024年5月10日に公表した連結業績予想を、売上高6,940億円(前回予想比390億円増)、営業利益210億円(同115億円減)、経常利益180億円(同120億円減)、親会社株主に帰属する当期純利益120億円(同80億円減)に修正した。営業利益は、日本国内における土木、建築の売上高増加による増益に加え、海外も複数の大型海上工事で大幅な利益改善が見られたものの、シンガポールの大型土木工事(概成)及び香港の土木工事(完成予定)で約160億円の追加工事損失の計上、及びシンガポールの設備工事子会社の業績悪化により大幅な減益となった。
説明資料によると、シンガポールの干拓工事(概成)では約120億円の追加工事損失を計上した。追加工事損失額は21年度の60億円、22年度の50億円、23年度の10億円と合わせて計約240億円となった。シンガポール初の干拓工事で離島での施工であること、地盤条件の相違による埋立土量のさらなる増加、工程遅延挽回のための追加経費の増加等が発生していることが要因という。
同社個別の受注高については、シンガポールで大型建築工事を受注したことにより、前年同四半期より249億円増加し、588億円(同73.2%増)となった。