シンガポール海事港湾庁(MPA)のTeo Eng Dih長官、Kenneth Lim副長官らは2024年11月25日、アンモニア燃料供給装置を日本郵船と共同開発しているTBグローバルテクノロジーズ(TBG社)の長岡工場(新潟県)を訪問した。また同日、東京湾で実証航海中の日本郵船グループが開発・建造・運航するアンモニア燃料タグボート「魁」を訪れ、アンモニア燃料エンジンなどを視察した。日本郵船が11月26日発表した。
Teo Eng Dih長官、Kenneth Lim副長官らはTBG社の長岡工場でアンモニアバンカリング船に搭載予定の「バンカリングブーム」を視察した。バンカリングブームには船舶間でアンモニアを安全に供給するために、アンモニアの漏洩リスクを最小限に留めるTBG社の技術を採用している。
「魁」の訪問では、アンモニア燃料エンジンとその関連設備を視察した。「魁」は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション基金事業の公募採択を受けて日本郵船がIHI原動機と共同開発したもので、8月に竣工した。現在、世界初のアンモニア燃料商用船として、東京湾での曳船業務に従事しながら3カ月間の実証航海を実施している。アンモニアを舶用燃料として利用するための安全設計が多数組み込まれており、バンカリング船を含む船舶でのアンモニア燃料利用の普及、拡大に寄与することが期待されている。
日本郵船は、アンモニアバンカリング船をシンガポールはじめ国内外の主要バンカリング港に投入し、事業運営していく方針で、「アンモニア燃料船やアンモニア燃料供給装置の研究開発を通じて得られる知見、技術を活用し、海事産業の持続可能な発展を目指した様々な取り組みで今後もMPAと協力していく」としている。
なお、日本郵船とMPAは2024年7月にMOUを締結し、シンガポール湾内で運航するバンカリング船を含めた低炭素アンモニアの舶用燃料利用の促進や、アンモニア燃料船の船員向けのトレーニングプログラムの検討に前向きに取り組んでいくことで合意した。