富洋海運(大阪市北区)の完全子会社の堂島汽船は2024年10月17日、兵機海運(証券コード:9362、東京証券取引所スタンダード市場)の普通株式の一部を、金融商品取引法による公開買付け(TOB)により取得することを決めた。
富洋海運の発表によると、富洋海運及び堂島汽船(以下、富洋海運グループ)は外航海運を主たる事業とする事業会社で、富洋海運の役員の親族が100%出資するシンガポール拠点の企業群と併せ、年間で約125億円(2024年1月期)の売上を計上している。
富洋海運はタンカーの船舶管理を強みとする船主で、船隊における保有船種を世界中のマーケット状況に応じて常にリバランスしながら、様々な船型の運営管理を行っている。取引先は日本の海運会社にとどまらず、海外の海運会社や石油会社に及び、顧客はシンガポール、香港、英国、ドイツ、デンマークなど多国籍にわたる。
富洋海運は、兵機海運が大阪市に本社を置き地理的に近くに所在していること、荷主の企業系列ではなく独立性があり、内航、外航、港運、倉庫の4つの総合的な物流サービスをバランスよく運営していることに着目し、2023年9月以降、長期的な事業シナジーの構築について検討してきた。しかし、兵機海運と2024年5月以降、資本業務提携について協議したものの進展しなかったという。
富洋海運グループは現在、兵機海運の株式を14,100株(所有割合:1.18%)所有している。今般、公開買付けの手法により兵機海運の株式の一部を取得し、富洋海運及び堂島汽船の所有割合を合わせ20%を下回る範囲で可能な限り多く株式を所有する株主の立場となって兵機海運との早期の資本業務提携に向けた発言力を強化することを目的に、公開買付けを開始することを決定したとしている。