外務省(日本)は2023年8月16日、東南アジア海域では武装集団による乗り込み事案をはじめとする海賊等事案が多発しているとして、注意喚起を発した。
特に、インドネシア、シンガポール及びマレーシアの領海に接するシンガポール海峡では、軽微で非計画的な乗り込み事案が近年多発している。国際商工会議所(ICC)国際海事局(IMB)の報告書によれば、事案の大多数が、夜間航行中に発生しているという。
外務省は、「シンガポール海峡及び同海峡周辺海域を航行する船舶の運航事業者及び当該船舶に乗船を予定されている方は、引き続き十分な警戒が必要」としている。
また、アジア海賊対策地域協力協定(ReCAAP)情報共有センターによれば、スールー海域及びセレベス海域並びにマレーシア・サバ州東海域では、これまでイスラム過激派組織「アブ・サヤフ・グループ(ASG)」等が度々強盗、誘拐等の海賊等事案を起こしており、実際に人質が誘拐され殺害された事案もある。2020年1月以降、身代金を目的とした人質事案は発生していないが、ASGの残党が逃亡中でもあり、ReCAAP情報共有センターも注意を呼びかけている。
外務省は、可能な限り航行ルートの変更を行い同海域を航行しないこと、不測の事態に巻き込まれないようダイビングクルーズなど観光目的で同海域を訪れないこと、を求めている。
IMBの報告書によれば、2022年の全世界における海賊等事案の約半分が東南アジア海域で発生しており、特にシンガポール(38件)やインドネシア(10件)、ベトナム(7件)での武装強盗事案数が多くなっている。