商船三井と、海運の脱炭素化を推進するシンガポールの非営利団体Global Centre for Maritime Decarbonisation(海運脱炭素化グローバルセンター、GCMD)は2023年8月8日、5年間のインパクトパートナーシップ協定に署名した。同日、シンガポールのGCMD事務所で調印式を行った。
商船三井は、GCMDのインパクトパートナーとして、海上輸送に関わる運航・技術的ノウハウを活かし、GCMDのプロジェクトへの参画を通じて、船舶・運航データ・知見の提供など様々な貢献・協力を行い、今後GCMDで予定されている代替燃料を用いた実証実験に貢献する。
調印式で、GCMDのCEOであるLynn Loo教授は、「商船三井が持っている省エネルギー技術や実績を活用して、船舶の燃費向上につながる施策が海運業界へ普及するよう、視野を広げて取り組んでいきたい」と述べた。
商船三井の田中利明代表取締役副社長執行役員は、「商船三井は、GCMDおよびそのすべてのパートナーと共に、海運業界におけるネットゼロの未来に向けて貢献し、その進展を加速するために最大限努力する」と述べた。
GCMDは2021年8月1日に非営利組織として設立され、戦略的パートナーとして、シンガポール海事港湾局(MPA)、BHP、BW Group、Eastern Pacific Shipping、Foundation Det Norske Veritas、Ocean Network Express、Seatrium、bp、Hapag-Lloyd、日本郵船が加盟している。戦略的パートナー以外にも、各プロジェクトに関与する80以上のパートナー、GCMDの運営に携わる15のパートナーが加盟している。
世界最大のバンカリングハブであり、世界第2位のコンテナ港であるシンガポールに位置しているGCMDは、海事産業におけるGHG排出削減支援のため、次世代燃料の基準をつくり、実際にエンドツーエンドで低炭素ソリューションを実証し、先駆けとなるプロジェクトへの資金提供を通じ、セクター間の協力を促進している。
商船三井の担当者はシンガポール新聞の取材に対し、「GCMDには、インパクトパートナー、戦略的パートナー、各プロジェクトに関与するパートナーなどがおり、中でもインパクトパートナーは、現物支給(船舶・運航データ・知見の提供など)を行う点が特徴となる」と答えた。