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商船三井、1Q決算説明会、「コンテナ船、下期以降スポット運賃上昇見込み」

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商船三井は2023年7月31日、2023年度第1四半期決算を発表した。8月4日、機関投資家・アナリスト向けオンライン説明会の主な質疑応答を公表した。

――コンテナ船事業の経常利益について、1Q実績238億円から2Q見通し11億円への減益要因を教えてほしい。期間契約の契約更改が大きいか。一過性の要因はあるか。

梅村 尚・取締役常務執行役員
1Q実績は昨年までの期間契約が一部残ったことから238 億円、一方で、2Q見通しは11億円とかなり小さくなっているが、これは為替調整の影響である。1Qにおいては期末為替レート144.99円/US$でONE社の持分法投資損益を取り込んでいる一方、2Qの為替前提は130円/US$にしている。その結果、2Q見通し数値は、2Qで発生する利益そのものに、1Qで一旦144.99円/US$を適用して取り込んだ利益を2Qの為替想定130円/US$に洗い替えることにより発生する為替差のマイナスを足し込んだ数字になっている。これにより、1Qと2Qの差額が非常に大きくなっているように見えるが、実際は為替影響を除けば、そこまで大きな差はない。ただし、1Qの方が数字としては良い形にはなる。

――コンテナ船事業の利益計画について、2Q見通し経常利益11億円から下期見通し220億円と大きく回復する見込みなのは、下期に一過性利益あるいはスポット運賃の上昇を見込んでいるということか。織り込まれている運賃水準トレンドを教えてほしい

梅村 尚・取締役常務執行役員
下期以降は、スポット運賃の上昇をある程度見込んでいる。足元のスポット運賃は、一旦1Qで少し下がった後、1Q後半から上昇傾向にある。特に北米航路では運賃の値上げを7月に2回行っており、8月1日付でも行う予定である。

また、欧州航路においても今年度これまで行っていなかった運賃の値上げを8月1日に実施する予定である。これらも含めて、これから運賃レベルが少し上がっていくことを下期には見込んでいる。荷量がいつ本格的に戻ってくるかは非常に見通しづらいが、下期以降、特に米国の在庫調整も一旦一巡して、少しずつ正常化してくると見込んでいる。

――コンテナ船の需給バランスが良くないので、ONE社に対して設備投資額を現在の計画から減らしてもらい、もっと配当を出してもらった方が良いのではないかというような議論はあるか。

梅村 尚・取締役常務執行役員
確かに足元コンテナの需給は決して良くないが、今船を建造し始めても新造船が出てくるのは3、4年後になる。従って、コンテナ船に限らず船会社にとって、将来を見据えた形で投資計画を進めることが非常に重要になってくる。よって、今のところ設備投資計画に関しては、ONE社として変更する予定はない。海運は、非常に難しい世界で、4、5年後を見据えて投資をしていかなければならず、短期の動きだけで投資判断をすべきではないと考えている。

――ONE社には金利収入があると理解している。2Qのコンテナ船事業利益11億円は為替調整を考慮しても、ONE社が赤字となる想定か?

梅村 尚・取締役常務執行役員
ONE社のドル建ての予想としては、2Qについても金利収入を含めれば赤字になる予定ではない。我々の予想の数字としては、23年度上期で6億ドルである。下期で5億ドル程度、通年で11億ドルの利益と見込んでいる。前回は12億ドル程度の通年の利益を見込んでいたので、1億ドル程度の従来予想比減益と見込んでいる。

――上期300億円の上方修正、下期100億円の下方修正の要因を貸倒引当金の戻りや為替前提の変更、その他に分けるとどのようになるか。また、ONE社のドルベースのNet Profitに関して、2Qと通期見通しを教えてほしい。

梅村 尚・取締役常務執行役員
上期300億円の上方修正は、引当金の戻し入れ、あるいは為替前提の変更に加えて、エネルギー事業が期初見込みと比較して良かったことが、理由になっている。一方で、下期の下方修正に関しては、ONE社の業績予想を少し下げたことなどから、通期に関しては200億円の増益に留めている。

――コンテナ船のスポット運賃が足元上がってきている理由や継続性に対する見方はいかがか。

梅村 尚・取締役常務執行役員
今スポット運賃が上がってきている理由は、船の供給を各船社が荷量に応じて調整した結果であろうと思う。消席率等も4月、5月一旦下がったものが足元かなり上がってきている。今後もっと荷動きが回復してくれれば、さらに改善が期待できると考えている。

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