キャセイパシフィック航空は2023年7月20日、2030年までに全燃料使用量の10%に持続可能な航空燃料(SAF)を使用するという目標達成に向け、香港のハブ空港以外で初めてSAFを商業便に使用したと発表した。
シンガポール・チャンギ空港で2023年6月7日、14日、28日の香港行きCX2076便と6月30日のペナン行きCX2074便の計4便のキャセイパシフィック貨物便に、EXXONMOBIL ASIA PACIFIC PTE.LTD.から供給を受けたSAFを使用した。
今回供給を受けたSAFは100%使用済み食用油が原料で、国際持続可能性カーボン認証(ISCC)のEU基準を満たしているという。ライフサイクルベース(原料の収集から製造、輸送、利用まで)では、従来のジェット燃料と比較してGHG(温室効果ガス)排出量を90%近く削減し、旅客便および貨物便をより少ないGHG排出量で運航できる。
キャセイグループ最高経営責任者(CEO)のロナルド・ラム氏は「航空業界が二酸化炭素排出量ネットゼロを達成するためにはSAF導入が主要施策であると確信している。香港国際空港だけでなくシンガポールのチャンギ空港でも一部の旅客便にブレンドSAFの導入を拡大することで、アジア太平洋地域におけるSAFの認知度を向上し、高まる需要を航空会社からサプライチェーンにも示したいと考えている」とコメントした。
キャセイパシフィック航空の代理人はシンガポール新聞の取材に対し、「SAFの混合率は現時点(7月25日時点)では公開しない方針である。SAF原液の実際価格は、従来のジェット燃料よりもかなり高価で、特にシンガポール(香港や日本も)がSAF使用のインセンティブを提供している地域でないため高価となる。キャセイパシフィック航空は、今後より多くの政府や空港当局が、航空会社やサプライヤーに対してSAFを使用するインセンティブ・スキームを打ち出すことを奨励し、歓迎する」とコメントした。