日本郵船は2023年3月7日、ANAホールディングス(ANAHD)との間で、連結子会社の日本貨物航空(NCA)の全株式をANAHDに対して譲渡することに関する基本合意書を締結した。
ANAHDがNCAの発行済株式の全てを日本郵船から一括して取得する。譲渡価額は未定。具体的な取得方法(スキーム)等は引き続き両社で協議のうえ決定する予定。クロージング日は競争法上のクリアランスが得られること等を条件に、NCA株式取得の実行日を2023年10月1日またはANAHDと日本郵船が別途合意した日とする。
NCAは1978年、複数の事業者が参画して国際貨物専門の航空運送事業を行う会社として設立された。日本郵船は、NCA設立以来主要株主としてその経営に関与し、2010年には海・陸・空の総合物流企業を目指して完全子会社化した。しかし、運航・整備体制の拡充のための継続的な機材導入、運航・整備に従事する人員の継続的な育成には相応のコストを要し、ボラティリティの高い航空運送事業においてそのコストに見合うレベルで事業規模を拡大することに課題を抱えていたという。
一方、ANAHDは、日本で唯一の貨物航空運送専業の航空会社であるNCAを事業ポートフォリオに加えた後、ANAグループの貨物事業と将来的に統合・再編して経営体質を強化することに強い意欲を示したという。
日本郵船は、NCAが今後企業価値向上を実現するためには、従来より整備体制強化に向けて協力関係にあるANAHDへの譲渡が最善の施策との考えから、ANAHDと協議を重ねた結果、取引を相互に推進・検討することについて基本合意に至り、基本合意書を締結した。
NCAはシンガポールなどに支店、ジャカルタ、クアラルンプールなどに販売総代理店を置くなど、東南アジアに多数の拠点を置いている。