半導体製造装置メーカーのApplied Materials,Inc.(本社:米国カリフォルニア州サンタクララ)は2022年12月22日、シンガポールでの事業を今後8年にわたって拡張するプラン『シンガポール2030』を発表した。Applied Materials社のグローバルな生産能力とR&D機能の増強、テクノロジーエコシステムのパートナーシップ拡大、現地の人材育成の推進を目標に掲げた。
『シンガポール2030』の一環として、同日、地域ハブであるシンガポールの施設を拡充するため、米国外では最大となる工場の起工式を行った。投資額は数億米ドルに上る見通しで、生産能力増強により今後長年にわたって顧客の需要拡大に応えることが可能できるとしている。
また、シンガポールでのR&D機能強化にも投資し、半導体チップのPPACt™(消費電力、性能、面積あたりコスト、市場投入までの期間)向上をもたらす新たな技術やサービスの実用化を加速する。シンガポール科学技術研究庁(A*STAR)の研究機関であるマイクロエレクトロニクス研究所(IME)と3Dチップインテグレーション技術の研究を行うなどする。
Applied Materials社のゲイリー・ディッカーソン社長兼CEOは、「シンガポールは過去30年にわたって当社の戦略的ハブの役割を担ってきた。半導体業界は2020年代中に1兆米ドルの市場規模達成を目指しており、当社も今回の投資を通してそれを後押しする。シンガポール政府や活気あるテクノロジーエコシステムとの協働を通じて互いの成長に役立つ機会を創出していく」とコメントした。
シンガポール経済開発庁(EDB)のべー・スワンジン長官(Dr.Beh Swan Gin)は、「Applied Materials社は長年シンガポールのパートナーとして、シンガポールの半導体製造装置業界における製造とイノベーションを推進してきた。『シンガポール2030』は、グローバルな半導体サプライチェーンの要というシンガポールが果たす役割をさらに深化させるもので、大いに歓迎する」とコメントした。
Applied Materials South East Asia Pte.Ltd.のブライアン・タン(Brian Tan)リージョナルプレジデントは、「デジタル化が加速し、経済におけるテクノロジーの役割がこれまで以上に重要となっている今、当社はシンガポールが取り組む未来の人材の育成支援にコミットしている。今後数年にわたり学術パートナーやコミュニティパートナーとの新たなイニシアティブに投資する」とコメントした。
Applied Materials社は1991年にシンガポールに進出した。当時は小規模な販売・サービス拠点だったが、その後製造と地域事業の一大ハブへと成長し、社員数は2,500人を超えている。