日本政府は2020年6月15日、「包括的な経済上の連携に関する日本国及び東南アジア諸国連合構成国の間の協定を改正する第一議定書」(日・ASEAN包括的経済連携協定第一改正議定書)の効力発生に必要な国内手続が完了した旨をシンガポールなどASEAN構成国(10カ国)政府に通告した。16日発表した。
同改正議定書の発効には、日本及び少なくとも1つのASEAN構成国政府が、それぞれの国における国内手続が完了した旨の通告を行うことが必要で、すでにタイ、シンガポール(2019年8月30日)、ラオス、ミャンマーは同通告を行っていることから、日本が通告したことで、2020年8月1日(土)から日本と少なくとも同4カ国の間で同改正議定書が発効する。
同改正議定書は、2008年に発効した日・ASEAN包括的経済連携協定に、サービスの貿易、人の移動及び投資に関する規定を追加するもので、これまでのASEAN各国との二国間EPA等にはない規定や自由化約束が含まれているという。
経済産業省(日本)の担当者は、シンガポールとの関係に関して、①排気ガスの清浄化サービスについて、外資出資比率が100%までの自由化を新たに約束 ②自然人の異動について、企業内転勤者は3年を超えない滞在期間を新たに約束――などの内容が含まれていると説明し、「新たな自由化約束を通して、両国間のビジネスが発展、日・シンガポール間の協力関係が強化されることを期待している」と述べた。
これまで、②自然人の異動に関して、日本とシンガポールは二国間協定で2年間と約束しており、同改正議定書が発効により、入国時に最初に許可される滞在期間が3年に延びる。同担当者は「日本企業の方が、シンガポール現地法人へ転勤になった際の滞在期間が国際法上も約束されたことにより、より人の移動が活発になる」と補足説明した。
日・ASEAN包括的経済連携協定第一改正議定書は、2019年2月27日に日本が署名し、同年3月から4月にかけてASEAN構成国が署名を行った。