商船三井のグループ会社のMOL ENERGIA PTE.LTD.は2025年1月23日、タイ素材最大手Siam Cement Group社(SCG社)の完全子会社のSCG Chemicals Public Co.,Ltd(本社:タイ、SCGC社)との間で、新造液化エタン専用船(Very Large Ethane Carrier、VLEC)3隻の長期用船契約を締結した。商船三井が1月24日発表した。
VLECは約80,000m³以上の積載能力を持ちマイナス約92度の液化エタンを輸送するための専用船で、同新造船はSAMSUNG HEAVY INDUSTRIES CO.,LTD.(三星重工業、本社:韓国)で建造、2027年竣工を予定する。また、エタン二元燃料推進機関を搭載し、従来の重油燃料船と比較し温室効果ガス、硫黄酸化物、窒素酸化物の排出を抑制できる仕様とする。
SCGC社は1983年設立のタイ最大級の総合石油化学企業。ベトナムに保有するアジア最大級の最新鋭石化プラントで、米国産エタンを活用し製品製造の市場競争力を高めるためエタンの輸入を決定している。エタン輸送船の確保にあたり、商船三井グループを戦略的事業パートナーに選び、今回の長期用船契約締結に至ったという。
商船三井グループは2014年に世界で初めてVLEC事業に参画した。現在、世界で竣工または発注済の約90隻の液化エタン専用船のうち、今回の新造液化エタン専用船を含めて商船三井グループが管理・運航するVLECは12隻となる。
エタンは、天然ガス中でメタンの次に多く含まれる成分で、含有量はガス田によるものの、5~20%程度の割合を占める。基礎化学品であるエチレンの温室効果ガス排出量の少ない精製原料として利用されている。
新造液化エタン専用船の概要は下記の通り。
【 主要寸法 】全長230m、船幅36.6m、満載時喫水11.9m
【貨物艙・容量】GTT Mark IIIメンブレン、100,000m³
【 推進機関 】二元燃料(重油・エタン)ディーゼルエンジン
【 造船所 】三星重工業巨済造船所
【 竣工予定 】2027年