進出・出資・撤退

デンカ、大船工場稼働停止を決定、「Toyokalon®」事業をシンガポールに集約

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デンカは2024年9月9日開いた取締役会で2026年3月末を目途に大船工場(神奈川県鎌倉市)の稼働停止を決議した。大船工場の主力製品の「Toyokalon®」については、シンガポール子会社のDenka Advantech Pte. Ltd. South Plantに事業を集約し、「カラリヤン® Yフィルム」と「カラリヤン®テープ」については事業撤退する予定。

大船工場は1949 年に旧東洋化学として塩ビ樹脂加工製品の製造を開始後、1952年には世界に先駆けて塩ビ繊維の工業化に成功し、現在はファッション用ウィッグの原糸として「Toyokalon®」を製造している。

しかし、「Toyokalon®」は、販売面ではトレンドシフトによる需要構造の変化に加え、コロナ禍以降、主要販売地域であるアフリカ経済の停滞により需要が低下している。コスト面でも原料価格高騰や固定費の増加により、厳しい収益状況にあるという。

今後、「Toyokalon®」の製造・販売・研究をDenka Advantech社へ順次移管し、2026年3月末までに大船工場での生産を停止する予定。Denka Advantech社では構造改革によるコストの削減および新製品へのシフトで収益の向上を図るとともに、アフリカ市場への前線拠点として機能を強化することで、高収益事業への転換を進める。

大船工場の従業員については、雇用維持を最優先にグループ内での配置転換を進めるとしている。

デンカは業績への影響について「現在精査中で、確定次第速やかに開示する」としている。

デンカの担当者はシンガポール新聞の取材に対応し、「現在、『Toyokalon®』の製造拠点は大船マザー工場、シンガポール工場に二分されているが、一拠点化により一体運営が可能になり、製造・販売・研究の連携強化、運営面での効率化、アセットの効率化を進めて事業体質強化を図ることが可能となる。『Toyokalon®』事業は、アフリカ市場に根ざしたユニークな事業である。シンガポールへ移転することで、従来の日本人中心の画一化された組織から、営業、研究、製造の各チームにグローバル人財を迎え入れて多様化を図り、アフリカ市場の情報収集能力の強化などを元に、新生Toyokalon事業を始動する計画である。Toyoaklon事業の99%が海外市場の為、コミュニケーションやロジスティックス面でも有利となる」 と補足した。

◇大船工場概要
【  所在地 】神奈川県鎌倉市台2-13-1
【操業開始】1949年11月
【  工場長 】西村 英明
【従業員数】137人(臨時雇用者含む、2024年8月31日現在)
【事業内容】ファッションウィッグ用合成繊維、包装用粘着テープ、機能性フィルムの開発と製造

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