SBIホールディングスのシンガポールの子会社SBI Ventures Asset Pte.Limitedは、英Standard Chartered Bankのベンチャー投資&インキュベーションユニットであるSC Ventures(本社:シンガポール、Head:Alex Manson)が設立運営しているFinancial Inclusion Technologies Limited(本社:UAE、CEO:Syed Muhammad Ali、MyZoi社)へ出資した。2023年9月5日発表した。出資額はSC VenturesとSBIホールディングスの合計で1,400万米ドル。各社の出資額、出資比率は非開示。
中東では、UAEのみで周辺国からの出稼ぎ労働者が330万人程度存在し、平均月給の約8割を母国の家族等へ送金している。GCC5カ国(UAE、バーレーン、クウェート、オマーン、カタール、サウジアラビア)の出稼ぎ労働者数を合わせると1,000万人超になるという。
多くの出稼ぎ労働者は、KYC(本人確認手続)上の問題や口座維持手数料がかかる等の理由で、十分な銀行サービスを居住国で受ける事ができていない。また給与を受領した後に国際送金事業者を利用し自国通貨へ両替・送金を行っているため、手続きが煩雑で高コストという問題を抱えているという。
MyZoi社は、UAEにおいてデジタルウォレットの取り扱いが可能となるStored Value Facility(SVF)及び国内外送金とカード発行が可能となるCategoryⅡpayment service provider(RPSCS)の2種類のライセンスを取得済み。Wages Protection System(WPS)への接続許可も取得したことから、給与振込を直接デジタルウォレットに入金することが可能で、シンプルなアプリ操作で母国への送金や、国内での決済も可能となるソリューションも展開していく。
将来的には、潜在的なニーズの大きいサウジアラビア等へも進出し、出稼ぎ労働者向けのファイナンスや保険商品等のラインナップを拡充することにより、出稼ぎ労働者のデジタルバンクとなることを目指す。SCBの強みである法人顧客網へ一体的に営業することで効率的にユーザー獲得を進めていく。
SBIホールディングスは、MyZoi社が銀行口座やサービスにアクセスできない層へのファイナンシャル・インクルージョンに資すること、また中東地域での金融サービス事業の拡大及びSC Venturesとの関係強化を目的に投資を決めた。
SBIホールディングスはSC Venturesと2022年5月に事業提携を締結した。今回の投資は、同基本合意に基づくパイプライン案件への出資という。
◇Financial Inclusion Technologies Limited
【所在地】UAE
【 設立 】2022年
【事業内容】出稼ぎ労働者向けのデジタルバンキングサービスの提供