デジタル経済 進出・出資・撤退

AAIC Investment、アフリカでDバンキングインフラ提供のCredableに出資

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シンガポールを本拠とするAAIC Investment Pte.Ltd.(代表・椿進)は、企業にデジタルバンキングサービスのインフラを提供するフィンテック企業Credable Group(本社・UAE)に対し、Africa Innovation & Healthcare Fund(AHF2号)を通じて出資を行った。2023年3月20日発表した。出資額、出資後の持株比率は非開示。

発表によると、サブサハラ以南のアフリカで暮らす約12億人のうち約4億人が金融サービスにアクセスできず、その大半を占める農家や非正規労働者は、収入が不安定などの理由で保険の加入や医療費の捻出が難しい。その結果、家庭で十分なセーフティーネットを備えられず、生活困窮の悪循環を生む原因となっているという。

Credable社は2021年設立。銀行・モバイル事業者・ECプラットフォームなど様々な提携企業のサービスを通じて個人顧客に対しデジタルバンキングサービスを提供し、提携企業と個人顧客の間の橋渡しを実現することで新たなBtoBtoCのビジネスを創出している。現在までに120万人以上がCredable社のプラットフォームで銀行口座を新規開設し、貯蓄、各種ローン(短期含む)、決済など幅広い金融サービスを利用している。これまでに5百万USD以上のローンが組まれ、3百万USD以上の預金が入金されているという。

AAIC Investment社はAHF2号を通じ、アフリカおよび中東地域における金融サービスへのアクセス向上により現地社会のセーフティーネットや医療分野の制度改善に大きな貢献が期待できると判断し、Credable社への出資を決めた。

Credable社は2021年4月にアフリカ全土でスタートアップ投資を行うベンチャーキャピタルThe Continent Venture Partner主導のプレシードラウンドを実施した。今回2023年3月のシードラウンドでは、ナイジェリアのアブジャとラゴスを拠点とするベンチャーキャピタルVentures Platform主導のFund IV LPにより2.5百万USDを調達した。

調達した資金は、ケニア、タンザニア、ウガンダなどのアフリカ地域および中東地域全体への事業展開に向け活用されるという。

AAICの担当者はシンガポール新聞の取材に答え、「(Credable社のサービスが急速に普及している要因は)タンザニア最大のキャリアであるVodacomとのパートナーシップによる。Credable社の事業モデルは、借入のニーズがある個人との接点があるキャリアや銀行などの企業にKYC(本人確認)やcredit scoring(信用度採点)が行えるシステムを提供する。Vodacomの場合、既にモバイルマネー(主に単純な送金)を提供していたが、そこにCredable社のシステムを活用することで銀行のような預金・借入ができるようにしている。現在は、他のキャリアに加え、自社でシステム開発までできない銀行や、ECなどとサービスのローンチを準備している」と補足した。

◇Credable Group
【本社所在地】ドバイ(UAE)
【 代表者 】Jad Abbas、Nadeem Juma、Michael Tarimo(共同代表)
【   設立  】2021年

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