次世代充電式電池を開発する米Alsym Energy(マサチューセッツ州)は2022年7月22日、Alsym Energyとシンガポールに本社を置く船舶管理会社Synergy Marine Groupが船主事業の日鮮海運(愛媛県今治市)との協力により、Alsym Energyの高性能・低価格技術を使用した海運業界専用のアプリケーションを共同開発すると発表した。
Alsym Energyは、電池システムが貨物船やタンカー特有の重要な性能レベルや規制要件を満たすことを条件として、量産開始の初年度から3年間にわたりSynergy Marine Groupと日鮮海運に年間1ギガワットの不燃性充電式電池を提供する予定。
Alsym Energyは、電気自動車・船舶・固定式電力貯蔵設備のための不燃性充電式電池の試作を同社マサチューセッツ州の設備で2022年後半に開始する計画で、リチウムベースの技術の何分の一かのコストで電池を供給し、電化を安全で経済的にも有効なものにすることを目指している。2025年の量産開始を見込んでいる。
電池は港湾を出入りする貨物船やタンカーの推進や荷役中の船の動力源、海上でのピークシェービングの支援に使用できる。乗員や貨物への危険のみならず、船舶管理者や海運業者の保険料負担軽減にも繋がるとしている。
Synergy Marine Groupの設立者で最高経営責任者(CEO)のCaptain Rajesh Unni氏は、「排出ゼロの船舶は将来の海上輸送の姿であり、日鮮海運などSynergy Marine Groupと同じ考えの船舶所有者と協力し、このエコシステムのすべてを可能な限り早く脱炭素化しようとしている。電化のコストを下げ、電池関連の発火事故のリスクを最小限にとどめることで、Alsym Energyの技術は2050年までに排出実質ゼロという船舶業界の目標達成を支援する安全な代替手段として有利であり、リチウムを有毒物質に分類するという欧州委員会の最近の提案を考えると、特にそれは明らかである」とコメントした。
Alsym Energyは、容易に入手可能な材料から作られて本質的に不燃性で毒性のない先進的で低価格・高性能の充電式電池を開発しており、ゼロカーボンの将来を実現する電気乗用車や二輪車、海上輸送、固定式エネルギー貯蔵設備などに使用される電池の商用開発と量産に注力している。
Synergy Marine Groupは、シンガポール本社をはじめ13カ国25カ所にオフィスを構え、1万8,000人以上の船舶乗務員を雇用し、LNG船(FSUを含む)やLPG船、積載量総計が2万TEU以上のコンテナ船のほか、石油・化学製品タンカー、自動車運搬船、バラ積み貨物船を含む500隻以上の船舶を管理している。