リー・シェンロン首相は2022年7月9日、日本の岸田文雄首相に宛てて、安倍晋三元首相の逝去を受け哀悼の意を表する書簡を送った。シンガポール外務省が発表した。 要旨は下記の通り。
安倍晋三元首相が衝撃的かつ悲劇的な死を遂げたことに、シンガポール政府を代表し、深い哀悼の意を表します。シンガポールは、この無分別な暴力行為を強く非難します。
安倍氏の首相在任期間は歴代最長であり、アベノミクスなどの特徴的な改革を通じて、日本の経済と社会を発展させ、一般の日本人の生活を向上させるなど、意義深い貢献をしました。
私は、安倍氏と10年近く一緒に仕事をする機会に恵まれました。彼の支援により、シンガポールと日本の関係は力強く成長し、貿易や投資、イノベーション、インフラ整備、スマートシティ、文化交流など多くの分野で協力が拡大しました。例えば、日本・シンガポール新時代経済連携協定の1回目の見直しは、安倍氏のリーダーシップの下、成功裏にまとまりました。安倍氏とシンガポールとの密接な関係は、2015年にリー・クアンユー元首相の国葬に、2016年にはS・R・ネイサン前大統領の国葬に特別に出席したことからもうかがわれます。安倍氏は、シンガポールの良き友人として永遠に記憶されるでしょう。
安倍氏は積極的な国際政治家であり、ASEANやAPECなどの地域グループと日本の関係を深めました。シンガポールと日本は、自由で開かれた包括的な地域構造、多国間主義、貿易自由化を推進するために緊密に協力しました。安倍氏と日本のビジョンとリーダーシップなしでは、環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定の締結は実現しなかったはずです。
安倍氏の逝去は、日本、シンガポール、そして世界を深く悲しませています。この悲痛な時期に、私は岸田首相と日本の皆さまのことを心より思っております。
敬具
リー・シェンロン
<原文は英語で、シンガポール新聞社が独自に翻訳したものです。>