自動車用電球製造・販売の大井川電機製作所(静岡県島田市)は、新規事業として生産・販売に取り組むはなびらたけ「ホホホタケ」のシンガポールへの輸出を開始した。輸出数量は月間約100パックで、豊洲市場の物流会社を経由して空輸している。日本料理店での提供が始まっている。2022年1月18日発表した。
大井川電機製作所は1967年創業。これまで国内外の自動車メーカー向けに、ウィンカーやテールランプ用など数十種類の照明用電球を月間約1千万個生産・販売し、年間約20億円を売上げてきた。しかし、電動化(EV)や自動運転など自動車産業を取り巻く環境の変化や、自動車電球の発光ダイオード(LED)化に伴い、売上が減少傾向にあったため、自動車産業で長年培ってきた電球製造の厳格な品質管理と生産体制のノウハウを活かした新規事業への参入を検討、2015年からはなびらたけの栽培方法の研究を開始した。そして、はなびらたけの温湿度管理、二酸化炭素濃度のコントロールなどの研究を重ね、2018年に独自の栽培ノウハウを確立、総額2億円を投じ、はなびらたけを市場に安定供給できる生産体制を整え、2020年8月より本格的に稼働を開始した。
はなびらたけは標高1,000メートル以上の高山で生育し、採取することが困難なため「幻のきのこ」と呼ばれ、すき焼き、炊き込みご飯、天ぷら、鍋、サラダなどの料理で使用されることが多いという。
大井川電機製作所は、はなびらたけの売上高を2020年度に2千万円弱まで伸ばした。2022年度で1億円、2025年までに10億円に引き上げ、中核事業に育てることを目指す。