東海東京証券(名古屋市)は2021年10月22日、金融商品取引法における電子記録移転有価証券表示権利等(セキュリティトークン)の取扱いに係る変更登録を完了し、国内初となるシンガポールのデジタル証券取引所(ADDX)を介したセキュリティ・トークン・オファリング(STO)ビジネスを開始した。
11月11日の発表によると、東海東京証券では不動産案件と地方銀行と協働した不動産等を裏付け資産とするセキュリティトークンを用いた資金調達の計画について具体的な検討を複数進めているといい、将来的には同社グループが2021年中に設立予定のスマホ専業証券において国内での小口販売と多様な資産を裏付けとした投資機会の提供を視野に入れているという。
また、同社グループはADDXを運営するICHX社(東海東京フィナンシャル・グループの持株比率3.95%)との協業関係のもと、ICHX社が目指すSTOのアジアネットワークにより一層の流通性の向上を見据え、地域の金融機関や事業会社と共に国内地域産業を資金調達面から支援することを目指している。
具体的には、初期段階では、数十億円規模の不動産物件を投資対象とする合同会社、匿名組合出資、信託受益権を組合せた投資スキームを裏付けとした「電子記録移転権利」の取扱いを予定する。募集は日本とシンガポールで行われ、募集終了後にADDXに上場することにより、海外の投資家からの投資も期待できるという。
東海東京証券は「セキュリティトークンの取扱いにより、これまで一部の投資家向けであった金融商品を個人投資家にも提供できることとなり、事業会社等の発行体にとっては、海外を含めた資金調達の手段が広がることで、新たな調達・運用機会の創出に寄与するものと考えている」とコメントした。
STOビジネスが2022年3月期の業績に与える影響は軽微。