シンガポールを本拠とする不動産投資マネージャー(REIM)であるキャピタランド・インベストメント(CapitaLand Investment、CLI)は2021年9月末、日本初となる私募ファンド「Orchid One」の運用を開始した。同ファンドは、CLIが保有する2棟のオフィス物件の持分を取得したことで組成され、ファンド運用資産総額(FUM)は441億円(5億3,770万シンガポールドル)。CLIが同ファンドに4.98%出資し、残りの持分は京浜急行電鉄、大成建設、芙蓉総合リース、小田急不動産など機関投資家が保有する。2021年11月3日発表した。
発表によると、同ファンドの原資産には、みなとみらい線の新高島駅と横浜駅に近接する17階建て複合テナント型オフィスビル『横浜ブルーアベニュー』の共有持分50%と、新宿に立地し東京都庁に近接する35階建て複合テナントオフィスタワー『新宿フロントタワー』の共有持分20%が含まれる。取得は2021年9月30日付で取得価格は437億円。横浜ブルーアベニューの残り50%は、CLIが同タイミングで運用を開始する別のファンドが取得する。新宿フロントタワーの残り80%の共有持分は第三者が保有しているという。
CLIは両オフィス物件のアセットマネージャーとして引き続き物件を運用する。また、CLIが両物件の売却により計上する利益については、CLIの日本でのポートフォリオ拡大を目的に、今後成長が期待される不動産セクターに再投資する方針という。
キャピタランド・インターナショナルのジェラルド・ヨン最高経営責任者は、「CLIが上場直後に新しい私募ファンドを設立したことは、アセットライトで資本効率の高いグローバルな不動産投資マネージャーとしてのCLIに対するキャピタルパートナーの信頼を示している。ファンド運用と資産リサイクルは、CLIの主要な成長戦略である。今年、外部から14億シンガポールドルを越える新規エクイティを調達し、合計7つの新規ファンドを立ち上げた。規律ある資産リサイクル活動の一環として、オフィス2物件をCLIの私募ファンドに売却し、結果としてFUMの拡大に寄与した」とコメントした。
キャピタランドグループは、傘下にCapitaland Development(不動産開発)とCapitaland Investment(不動産投資)を置いていたが、不動産開発部門は資本集約型のビジネスモデルで資金効率性が不動産投資部門と比較して劣後することから、Capitaland Developmentを非上場化し、Capitaland Investmentを2021年9月20日にシンガポール証券取引所に上場した。