日本郵船は2021年5月17日、シンガポールのグループ船舶管理会社NYK SHIPMANAGEMENT PTE LTD(NYKSM社)がオンライン環境下で実施するLNG船及び原油・石油製品タンカーの荷役シミュレーター訓練がノルウェーに拠点を置く船級協会DNVから認証を受けたと発表した。オンライン環境下で実施する原油・石油製品タンカーの荷役シミュレーター訓練のDNV認証取得はアジア初という。
DNVによる訓練の認証は、訓練内容が「1978年の船員の訓練及び資格証明並びに当直の基準に関する国際条約」及び同法律の2010年改正の要求を満たす訓練の模範として国際海事機関(IMO)が定めた訓練課程「IMOモデルコース」に定められている項目を満たしているか、また、実際に訓練内容に沿って効果的に行われているかを確認する。
発表によると、今回認証を取得した訓練は日本郵船グループ船員育成を目的に、LNG船、原油・石油製品タンカーに初めて乗船する船員を対象に実施しているもので、基本となるIMOモデルコースに、日本郵船グループ独自の安全に関する文化や運用基準、ビジネスの現状や歴史教育を含んだ内容となっている。
訓練には荷役シミュレーターを用いる項目があり、通常時にはNYKSM社が所有するシンガポールの研修所で実地訓練をしているが、今回この荷役シミュレーターを用いた訓練にインターネットのクラウド上で作動する「クラウドベース荷役シミュレーター」を活用することで座学を含む全ての訓練内容をオンライン化し、訓練内容の確認を経てDNV認証に至ったという。
これにより、コロナ禍でもLNG船及び原油・石油製品タンカーに乗船する船員はシンガポールへ渡航せずに訓練を実施できることになった。
NYKSM社は2020年9月以降、操船訓練、LPG荷役訓練、自動車専用船荷役訓練のオンライン化等、すべての船種で訓練のオンライン化、e-ラーニング化に取り組んでいる。
日本郵船の広報担当者は「渡航規制によりシンガポール研修所教室で実施していた多くの研修をオンライン化し、シンガポールの講師がオンライン研修を実施している。一部研修については引き続きオンライン研修で対応することも検討しているが、基本的には渡航規制が緩和されたら元の教室での研修に切り替える予定である。研修所の縮小等の予定はない」とコメントした。