スマートシティ・通信

アイ・ピー・エス、香港=比=星港間海底ケーブル使用権を取得、価額14億円超

投稿日:

アイ・ピー・エス(IPS)は2020年5月7日開いた取締役会で、豪通信事業最大手Telstra Corporationの海外部門子会社Telstra International Limited社(香港)が保有する海底ケーブル(香港=フィリピン間・フィリピン=シンガポール間)の使用権を15年間のIRU契約(Indefeasible Right of Use、設置者(所有者)と利用者の双方の合意がない限り、一方から契約を破棄することができない賃借契約)により取得することを決議し、契約を締結した。

取得価額は非公表だが、直前連結会計年度末日における連結純資産額(47億1,577万9,000円)の30%を超過する価額といい、自己資金及び金融機関からの借入れによる資金調達を予定する。2021年3月期業績に与える影響は、2020年5月15日公表の連結業績予想に織り込んだ。物件引き渡しは今年7月を予定する。

両社は、香港=フィリピン間、シンガポール=フィリピン間の海底ケーブルの一部の使用権の設定について協議を続け、Telstra International社は5月7日、保有する海底ケーブル(City-to-City Cable System)のうち、使用していない光ファイバーについてIPSに使用権を設定することで合意した。

IPSグループは、香港・シンガポール・フィリピン相互間の通信サービス提供に必要な国内通信回線(各陸揚局から各都市の陸上区間の光ファイバー)の使用権も各国通信事業者から取得し、フィリピンと海外を結ぶ国際通信回線の運用に参入する。

今年7月中にフィリピンの大手ケーブルテレビ事業者・通信事業者などに国際回線のリース、国際通信サービスの提供を開始する。大口需要家に香港、シンガポールまでのデータ通信サービスを長期の条件で提供することで安定した収益を確保するとともに、ケーブルテレビ事業者向けの通信回線の卸提供、法人向けインターネット接続サービスなどにも利用していくとしている。

IPSが提供する国際データ通信サービスの構成図

なお、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響などにより、伝送機器の納品時期がずれ込んだ場合、開通時期が遅延する可能性はある。現時点では2020年6月の伝送機器設置を見込んでいる。

Telstra Corporationは2015年、アジア各地の海底ケーブルを取得していたPacnet社を買収。単独ではアジア最大の海底ケーブル網を保有している。IPSはこれまでTelstra International社から国際通信回線を調達しており取引関係があった。

取得する海底ケーブルの使用権の概要は下記の通り。

【海底ケーブル名称】City-to-City Cable System(C2C)
【  開通時期  】2001年(旧C2C)
【海底ケーブル所有者】Telstra International Limited(香港)

【区間】
フィリピン=香港間
起点:Nasugbu陸揚局(フィリピン)~終点:Chung Hom Kok 陸揚局(香港)

シンガポール=フィリピン間
起点:Nasugbu陸揚局(同)~終点:Changi陸揚局(シンガポール)

【回線使用権期限】2035年(開通日から15年)
【 事業開始時期 】2020年第2四半期
【 回線の特徴 】他国を経由しないため、同一区間で比較した場合、他の海底ケーブルに比べて、レイテンシー(遅延)が低く品質が高い。

-スマートシティ・通信

Copyright© シンガポール新聞社 , 2024 All Rights Reserved Powered by STINGER.