気候変動(低・脱炭素) 物流・ハブ

日本・シンガポール航空当局、SAF利用の「グリーンレーン」設置等で協力覚書

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国土交通省(日本)は2022年12月23日、航空政策の重点分野における日本・シンガポール両国の航空当局間の協力を更に進めるため、シンガポール航空局との間で政策対話を実施し、協力覚書を締結した。日本側から大沼俊之・大臣官房審議官(航空担当)、シンガポール側からHan Kok Juan(ハン・コク・ジュアン)航空局長らが出席した。

署名式の様子

協力覚書では、▽二国間の国際航空運送の更なる拡大 ▽国際民間航空機関における航空脱炭素化に係る取組、持続可能な航空燃料(SAF)の利用拡大、SAFの利用促進のための日本・シンガポール間における「グリーンレーン」の設置に係る調査 ▽安全管理システムを評価する検査官の能力向上など、航空分野における安全管理や監査に関する協力 ▽空港の生産性向上に資する自動運転車両、燃料電池車両などの革新的技術の実装 ▽航空交通流管理、情報管理、軌道ベース運用等の計画、開発及び実施における新たな協力分野の確立 ▽ドローンや空飛ぶクルマの運航安全の確保や適切な交通管理、空飛ぶクルマの運航形態に対応した離着陸場等に関する政策や制度の整備――について連携を強化することを取り決めた。

航空脱炭素化に係る取組については、日本が外国航空当局と結ぶ最初の覚書となった。

また、各事項の進捗については、今後、両国の航空当局間で定期的に確認していくこととした。

国土交通省の担当者はシンガポール新聞の取材に対し、二国間の国際航空運送の更なる拡大に関して「日星両国間においては、コロナ前の2019年には約200便/週の旅客便が就航していた。本年9月の日本の水際対策の緩和以降、その便数は徐々に回復傾向にはあるが、まずは両国間の往来について、早期にコロナ前のレベルに復帰させることを目指すことを確認した。その上で、コロナ前の2019年における両国間の往来は、過去最高の340万人に達していた。両国は互いに人気の旅行先であり、今後、交流人口の更なる増加のために航空分野で実施できることがないか、継続的に検討していくことについて、航空当局間で認識を共有した」と答えた。

また、SAFの利用促進のための日本・シンガポール間における「グリーンレーン」の設置に関して「本年10月のICAO総会において、航空分野でも2050年カーボンニュートラルを目指すという野心的な長期目標が採択されるなど、航空の脱炭素化に関する取組は待ったなしの状況となっている。そのような中で、日星両国間を結ぶ航空路線の全部又は一部を『グリーンレーン』と位置づけ、脱炭素化の象徴的な施策とすることを企図し、その実現に向けた調査を行うことについて、シンガポール側から提案を受け、合意したものである。具体的な取組については、今後、両国の当局間で議論を開始し、並行して両国の航空会社などの関係者とも相談しつつ検討をしていくこととなるが、例えば、グリーンレーンにおいて、SAFを使用した運航や省燃費機材の投入、燃料節減のための運航上の工夫、発着地となる空港でのグリーン化に取り組むことなどが想定される。この取組の推進により、航空分野における脱炭素化の先進的な取組の実施やその水平展開に繋がることが期待される」と答えた。

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