千代田化工建設は2024年7月12日、PSA Singapore社が運営するコンテナヤードPasir Panjang Terminalに小型脱水素装置を設置し、シンガポール国外からの輸入水素を用いた大型燃料電池車への水素利活用プロジェクトの実証運転を開始した、と発表した。
実証では、①水素キャリアであるメチルシクロヘキサン(MCH)をシンガポール国外からISOタンクコンテナで運搬し、現地に設置された地上タンクへ貯蔵 ②脱水素触媒を充填した小型脱水素装置でMCHから水素を抽出 ③燃料電池車用向け高純度水素へ精製し、水素充填装置内で蓄圧し、ディスペンサーを通して大型燃料電池車に製品水素を充填――する。
3者の役割
NTU:脱水素触媒の改良に関する共同研究開発の実施。原料MCH調達に加え、実証期間中の分析対応/品質管理を担当。
PSA:実証場所や各種用役、貯蔵設備、水素充填装置、大型燃料電池車の提供。現地工事、試運転、運転、保守を担当。
千代田化工建設:独自のSPERA水素TM技術を基にしたNTUとの共同研究開発の実施。小型脱水素装置の提供。テクノロジープロバイダーとして本実証に係る設計、調達、工事、試運転、運転、保守など各種アドバイスを担当。
なお、千代田化工建設が提供した小型脱水素装置は、日本国内で製造/組立したもので、コンテナ船で輸送後、現地での据付、スキッド間の配管やケーブル接続など、最低限の現地工事で設置することができるという。
千代田化工建設は2022年以来、シンガポールの南洋理工大学(NTU)と共同でSPERA水素TM技術を基にした脱水素触媒改良に関する研究開発プロジェクトを進めてきた。
今回の共同実証プロジェクトは、シンガポール政府が低炭素エネルギー技術ソリューションの研究・開発・実証プロジェクトを支援するために開始した低炭素エネルギー研究助成イニシアティブ(Low-Carbon Energy Research Funding Initiative)の助成金により実現している。実証は2025年第2四半期まで実施する予定。