ユーグレナ(東京都港区)は2022年12月14日、マレーシアPetroliam Nasional Berhad(PETRONAS社)、イタリアEni S.p.A(Eni社)と、マレーシア・ジョホール州にバイオ燃料製造プラントを建設・運営するプロジェクトを共同で検討していると発表した。
同バイオ燃料製造プラントは、ジョホール州にある東南アジア最大級の製油所・石油化学コンプレックスPengerang Integrated Complex(PIC)内に建設する予定。
PETRONAS社の既存の製油所・石油化学設備に隣接し、PICのバリューチェーンやユーティリティ設備、施設などを活用できる。また、PICは、主要な国際航路にアクセスしやすい立地のため、世界的に高まるバイオ燃料需要に対応できるという。
同バイオ燃料製造プラントは、航空機用のバイオジェット燃料(SAF:Sustainable Aviation Fuel)と、自動車、ディーゼル列車、船舶用の次世代バイオディーゼル燃料(HVO:Hydrotreated Vegetable Oil)の各製造量を柔軟にコントロールして最大化できる設備を備え、日々変化し増加する再生可能エネルギーの需要に応える。
同バイオ燃料製造プラントには、Eni社が石油精製・ガス処理・石油化学製品および主要製造業に技術開発・提供する米国の多国籍企業Honeywell UOP社と共同開発した「Honeywell UOP’s Ecofining™ process技術」の導入を予定し、原料処理能力は年間約65万トン、バイオ燃料(SAF、HVO、バイオナフサ)製造能力は最大で日産1万2,500バレルとなる見通し。原料は、使用済み植物油や動物性油脂、植物油の加工に伴う廃棄物、将来的には微細藻類由来の藻油など、食料生産と競合しないバイオマス原料を使用する予定。
Eni社はイタリアで唯一、欧州第2のHVO製造事業者で、Giuseppe Ricciエネルギーエボリューション最高執行責任者は「マレーシアでユーグレナ社およびPETRONAS社と推進する本プロジェクトおいて、Eni社が2014年にイタリアのポルト・マルゲラ(ヴェネツィア)で、石油製油所からバイオ燃料製造プラントへの転換を世界で初めて実現し、更に2019年にシチリアのゲラで2カ所目のバイオ燃料製造プラントを稼働させた経験とその画期的な技術を共有できることを誇りに思っている」とコメントした。
3社は現在、同プロジェクト実現に向けた技術的・経済的な実現可能性評価を共同で実施しており、2025年中の同バイオ燃料製造プラント完成を目指して、2023年中に最終的な投資決定を行う見込み。
ユーグレナの担当者はシンガポール新聞の取材に対し「(ジョホールに建設する背景について)PETRONAS社の石油精製&石油化学コンプレックス内に建設することで土地やユーティリティなどが活用できる点、およびマレー半島南端で主要な国際航路やアジアのハブ空港にアクセスしやすく、バイオ燃料の原料調達・製品販売の両面で拡大が見込まれるアジア市場に近いという戦略的な立地をメリットと感じている」、「本プロジェクトの規模及び各社シェアは2023年中に最終決定する見込みだ。意思決定権や持分シェアは現在協議中だが、ユーグレナとしては持分シェア30%を目指して協議している」、「原料は、地理的強みを生かしてアジア・オセアニア地域のバイオマス廃棄物を調達する予定だ。ただし、経済性や製品の出荷先により原料の種類は異なる可能性がある」、「(製造したバイオ燃料の主要な供給予定先について)3社で協力しながら、主に需要と価格が強い市場にフォーカスすることで経済性の最大化を図りつつ、グローバル市場で販売していくことになる。各社毎の取り扱いや販売方法は協議中だが、ユーグレナが取り扱うことになった部分に関しては、経済性を考慮した上で、まずはバイオ燃料事業のパートナー企業や『サステオ』購入企業を中心に提案し、さらに新たな顧客との取引も検討したい」と答えた。